国道6号沿いに佇むモダンな白い建物。店内へと続く階段には漁に使うガラス製の浮き球が飾られ、海の幸を連想させる。

扉を開けると、しゃれたエントランスとギャップのある「どうも！」と威勢の良い歓迎。声の主は"直さん"の愛称で親しまれる店主の河村直典（なおのり）さんだ。この道20年以上の彼が作り出す料理は上品で色彩も豊か。食器は重厚感のある焼き物を使い、港町の定食のイメージを覆す。

ランチでも人気の「選べる御膳」は、4種類のメイン料理から2品を選ぶことができる豪華なひと品。見るからに新鮮な刺身や、照りがありしっかりと味のついた煮魚、魚介のダシが利いた日替わりの「おつよ」に、ツヤのあるご飯がすすむ。

その日の仕入れで内容は変わるが、特に魚は鮮度にこだわり、いわき市内と新潟の信頼をおく店から仕入れている。長年の経験により食材ごとのおいしい食べ方を熟知している河村さんの料理は評判で、安倍総理大臣やケネディ駐日米大使が訪れたことも知られている。

「父は水産加工業で、うまいいわきの魚を提供してきました。仕事は継げませんでしたが、うまいもんを提供するという意思と看板は継いでいます」。おいしい料理に舌鼓をうち、"直さん"の温厚な人となりに心癒やされてみては。