本誌が福島県全域版の「CJ Monmo」となった記念に、Webの「ふくしま定食部」も今回は郡山市を訪れます。
県道17号線を須賀川方面へ向かい、安積永盛駅付近を過ぎたら程なく右折。安積に昭和62年創業の老舗「とんかつ とん喜(※)」さんは、住宅地に映える水色の爽やかな看板と濃紺の暖簾が目印。
※正しい表記は「七」が3つ重なる旧字体です
入り口で消毒ポンプをプッシュしたら、その反動を利用して軽やかに入店します。
店内は小上がりとカウンター。今日は陽の差し込む入り口に近いカウンターに滑り込みました。
穏やかな笑顔が素敵な女将さんが「いらっしゃいませ」と、温かいお茶とお冷で出迎えてくださいました。まず、お茶を一口いただいてホッとリラックス。
さて、メニューを眺めますが、「とん喜」さんは豊富なラインアップで迷いますよね。
暖簾にも“とんかつ さしみ”とあるように、メニューにも刺身付きシリーズがあり、個人的には名物とも言えるコロッケも入った、「刺身付B定食(ヒレ コロッケ)」をオーダーすることが多いんです。
今日はせっかくの取材ですから、「大ロースカツ定食」で行きましょう!そして、コロッケを追加で添えない手はありませんね。
オーダーを告げると、カウンターは臨場感たっぷり。職人気質な二代目がキャベツを「ザッザッ」と刻む姿が伺えます。肉の筋切り、下ごしらえ。ジュワー…と揚げる音。その丁寧で実直な仕事ぶりに、毎回、今日も来て良かったと思うんです。
そうこうしているうちに、コロッケを携えて「大ロースカツ定食」が運ばれてきました。
縫ったら手袋くらい作れそうなサイズのロースカツは、まさに“大”。
噛むと繊維に沿ってスッと歯が入る柔らかさ。すぐさま、ジュワジュワ…と溢れる肉汁で口の中いっぱいに幸福感。
絶妙な塩梅の衣なので、“揚げ物というより肉料理”と言った方が良いですね。
あまりの美しさに、今回も思わずライスの上にひと切れ乗せてみました。
どうですか!赤身と脂身、衣のバランスの絶妙さがまるで帯グラフのよう。
まずは岩塩で、そしてソースで、カラシで、レモンで。カスタマイズを楽しみつつ、噛むほどに溢れる旨味、また旨味を満喫します。
キャベツが太めの千切りなのも、食感やソースとの相性が良く、好みです。パセリも良いアクセントに。どちらも残さずいただきます。
さあ、ひと息ついたらコロッケに箸を移しましょう。
人気メニューのひとつであるコロッケは、いわゆるポテトコロッケではなくクリームコロッケ。しかも、ヒレ肉の切れ端をたっぷり加えた、カニクリームコロッケのひれ肉バージョンという豪華さ。
初めて口にした時から、皆さんに知ってほしかったんです。
店の奥には先代もいらっしゃって、二代目と女将さんの雰囲気も相まって温かく家庭的。
先代は、スーパーの精肉担当時代に「独立するならとんかつ屋だ」と考え、修業を経て、郡山市内にお店を構えましたが、一旦閉店となってしまいます。
その後、鮮魚店を経営されますが、とんかつ屋の夢を諦めきれず、“刺し身も出せるとんかつ屋”として再始動されました。
とんかつ店で修業され、鮮魚店も経営された経歴があったからこその刺身付きメニューのこだわり。
カウンターもあるので、老舗ながらカジュアルにいただける絶品とんかつは、郡山市に来たならぜひ味わってほしい逸品です。
店名の由来は「お客さんに喜んでもらえるようにとの願いを込めて」と教えていただきました。しっかり笑顔になって、栄養を付けて元気になりました!また食べに行きますね。
ごちそうさまでした。
Information
とんかつ とん喜
- 住所
- 電話番号
- 024-946-1660
- 営業時間
- 11:00~14:30/17:00~20:00
- 休み
- 毎週日・月曜日
- 駐車場
- 13台