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映画のおはなし

クリストファー・ノーラン監督の真骨頂!圧倒的な映像で描く戦争映画の傑作

第三回「ダンケルク」

  • 情報掲載日:2017.09.24
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

 撮るごとに新境地を感じさせ、次作への期待感がいやがうえにも高まる。多少のアップダウンや好みの問題はあるが、私たち観客に確実に応えてくれるテンションの高い映画を作り続ける。クリストファー・ノーランは、そういうフィルムエンターテイナーの一人だと間違いなく断言できる。

 デビュー作「Following」(1998年)は観る機会がないままだが、二作目の「メメント」(2000年)からノーラン作品はずっと観てきた。とりわけ「バットマン ビギンズ」(2005年)「ダークナイト」(2008年)「ダークナイト ライジング」(2012年)は、従来のバットマンシリーズとは異なり、ある種の悲劇性を通奏低音とする大人の香りふんぷんと漂う格調に満ちている。ノーラン脚色によるこの三作は“トリロジー(三部作)”と呼ばれて、別仕立てのバットマンムービーとされている。ことに「ダークナイト」は当時の映画興行歴代収入4位を記録するほどの世界的大ヒットとなったが、なぜか日本ではさほど話題にならずに平凡な入りで終わった。それでもシネフィル(映画狂)からの支持は絶大で、ヒーロー映画の枠を超えるようなテーマ性を放つクオリティは、半端ないものがあった。

 「ダークナイト」以後のノーランのピークとなるのは「インターステラー」(2014年)だろう。環境破壊で終焉間近の地球に代わる、人類が棲める環境の惑星を求めて大宇宙への死出の旅に出る男の数奇な体験を描いたこの作品。「2001年宇宙の旅」(1968年)以来のスペースオペラであり、哲学的で予言性をも孕み、映画の域を超えた完成度とまでいわれる。映像表現の可能性の余地はまだまだ残されていると勇気づけたし、年月の経過とともにその声望を高めていくことは疑わないだろう。

 「ダンケルク」はそんなノーランが初めて手掛ける戦争映画。今年47歳という“バイタリティ、オリジナリティ、イマジネーション”と脂の乗り切った年齢にさしかかる彼の真骨頂が発揮された、文字通りの傑作だ。第二次世界大戦の実話である救出作戦を映画化したと聞かされると、私たちはただちにスティーブン・スピルバーグの「プライベート・ライアン」(1998年)を思い浮かべる。戦争映画の作劇法、または撮影概念のあり方を根本的に変えてしまったといわれる「プライベート・ライアン」以後の戦争映画はクリント・イーストウッドやテレンス・マリックなどいくつかの監督の手による例外はあるものの、今日までその影響を払拭できないでいた。しかし、ノーランはこの「ダンケルクの戦い」を描いた「ダンケルク」で、もしかしたら『「ダンケルク」以後の作品は…』と言われる戦争映画を作ってしまったかもしれない。戦争映画のフルモデルチェンジ…そう言いたくなるほどの壮麗かつ美しい戦争映画を、私たちの前に呈示してくれた。

 もちろん私も全く知らなかったのだが、ダンケルクの戦いとは1940年の北フランス戦線で繰り広げられた大規模軍事救出作戦のことだそうだ。8人の米軍兵がたった一人のライアンという名の青年兵を救出する規模とはわけが違う。こちらはなんと救出者40万人(!)である。ポーランドを平らげ、勢いに乗るナチスドイツ軍によって北フランスのダンケルクまで追い詰められていく英仏連合軍。英国首相チャーチルは、このダンケルクに孤立する兵士40万人全員を救出するために、軍艦どころか民間の船も総動員して陸海空総動員で全面作戦命令を発した。この救出作戦を、独りの兵士の視点を主軸に、主に三者の視点で描く。「インセプション」(2010年)でみせたノーランお得意の現在・過去をめまぐるしく行き来するタイムラインのワ―ピングに、全編IMAXカメラで撮影した最先端のリアル映像。観る者はジョージ・ミラーの「マッド・マックス 怒りのデスロード」(2015年)のように、はなから死と隣り合わせの現場に投げ込まれ、最初から最後まで時間感覚を失調するだろう。とにかく百聞は一見にしかず、でここには映画エンターテイメントのひとつの紛れもない未来がある、と直感できるはずだ。

 「メッセージ」(2017年)そして「ブレードランナー2049」(2017年)のドゥニ・ヴィルヌーブ、「ゼロ・グラビティ」(2013年)のアルフォンソ・キュアロン、「レヴェナント 蘇りし者」(2015年)のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥと共にクリストファー・ノーランたちハリウッドの中核にいる40から50代の人材の、ここにきての熟爛ぶりは映画好きにはたまらないものがある。そして、彼らはいずれもアメリカ人ではないことも映画のグローバル化、技術や情報交換のクロスオーバー化が今や花開いていることの証左だともいえる。

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