
初開催から好評の「LIVE AZUMA」も2024年で3回目となりますが、開催のきっかけを教えてください。
佐藤さん(以下敬称略):サマーソニックなど国内外のライブを手掛ける「クリエイティブマンプロダクション」と、福島出身の同級生5人で結成されたクリエイティブチーム「フライング・ベコ」、そして私が所属する「福島テレビ」、この3社がつながったことが大きなきっかけです。私が大学時代にスタッフとしてサマーソニックに参加し、その時に知り会った先輩がクリエイティブマンに就職。2人で「いつか福島でもライブをしたいね」と話していました。
フライング・ベコさんとの出会いは、2014年に東京・六本木で開催された「福島フェス」。東京のど真ん中で福島を味わえることに感動し、翌年には裏方として参加。音楽にも詳しい皆さんと連携したことで夢が広がり、3社で協力して「LIVE AZUMA」を開催する方向になりました。
藤原さん・引地さん(以下敬称略):将一さんが手を上げなければ始まらなかったよね。
なぜ福島市「あづま総合運動公園」を会場に選んだのですか?
佐藤:下調べやロケハンをした結果、ここしかないと思いました。自然があふれる会場の雰囲気や手入れされていてインフラも整っていること、福島駅から車で約20分というアクセスの良さも決め手です。
藤原:東京オリンピックで野球とソフトボールの試合会場だった場所でやることで話題性もあるし、スタジアムフェスはずっと頭の中にありました。
佐藤:当初は2021年に初開催を考えていましたが、コロナ禍のため断念。何かできないかと考え、衣・食・住+音楽をテーマにした福島県民対象の入場無料フェス「PARK LIFE」を実施。魅力的な店舗も揃い、来場者の満足度の高さにつながりました。
引地:当時は来場者に楽しんでもらいたいという思いだけで奔走したけど、喜んでもらえて良かったです。


2021年の「PARK LIFE」を経て、「LIVE AZUMA」はどんなフェスになっていますか?
佐藤:今の福島や東北の面白いものを表現して、来場者に楽しんでもらいたいという思いが「PARK LIFE」の根底にあり、その思いは変わっていません。
藤原:元々「福島フェス」は、震災後の福島のネガティブなイメージを変えたいという思いでスタートしたんです。どんどん人の輪が広がって、その1人が将一さん。「六本木に集まってくれた皆を福島に呼びたい、来てもらいたい」という思いが全員一致して「LIVE AZUMA」につながりました。
引地:来場者が「福島って面白いな」と感じてくれたり、地元の人たちが「我が町でこんなお祭りができて楽しいな」と喜んでくれたり、出店者も方言を交えておもてなしをしたり。そんな空間を作れたらと思っています。あと、地元にいない人間のエゴかもしれないけれど、「故郷が元気でいてくれないと困る!」という変な熱もあるのかも。
藤原:変な熱があるからやれるのかもね(笑)。準備期間も当日も大変なことが多いけど、2日目が終わって関係者全員で打ち上げをすると、みんな今まで見たこともない顔で笑っているんだよね(笑)。すごく良いチームになった!
引地:だから、やめられない(笑)。


出演するアーティストも毎回話題になっています。
佐藤:ジャンルを固めず、ロックやヒップホップ、これから話題になるであろうアーティストなど、福島ではなかなか見られない出演陣です。
藤原:ブッキングやステージなどに関しては、サマーソニックといった日本最大級のフェスなどを主催している「クリエイティブマンプロダクション」の存在も大きいです。
引地:ブッキングに信頼感があるとSNSなどでも話題になっていてうれしいですね。出演するアーティストの皆さんも楽しんでいらっしゃるようで、空き時間に会場内を散策する姿も。山に囲まれた球場の風景が珍しいと驚かれる方も多いです。
確かに、会場の雰囲気が新鮮ですよね。
佐藤:日本ではスタジアムフェスは少ないので、アーティストの皆さんにとっても特別感があるようですね。
藤原:会場がコンパクトで移動がしやすいし、自然があふれているけれど、整備されていて清潔に遊べるフェスって意外と他にはないかも。僕のラジオにも地元の吾妻地区の方から喜びの声が届きました。一流のミュージシャンが「ライブアヅマ~!」と、地名を叫んでくれるのはうれしいよね。
佐藤:2023年、フェスを研究している大学の先生が来場されて、「サマーソニックのような大型フェスの雰囲気と、地方色のあるローカルフェスが融合したような魅力がある」というように評価してくださって。クリエイティブマンの清水社長も「ローカルフェスのモデルになる」と言ってくださり、とてもうれしいですね!年々、福島県外からの来場者も増えているので、福島の魅力をもっと発信できると期待しています。

「LIVE AZUMA」をさらに盛り上げる、「PARK LIFE」エリアについても、詳しく教えていただけますか。
引地:担当する「PARK LIFE」エリアは、様々な出店が並び、飲食やワークショップなど自由に楽しめる場所です。入場無料なので、チケットを持っていない方、ライブの観客じゃない方もご来場いただけます。1回目、2回目と、特にラーメンブース「東北拉麺屋台村」が人気でしたね。
佐藤:昨年(2023年)は6店舗出店で、全店制覇した方もいるそうですよ。
引地:伝統の味に加え、若い人が届ける新しい味わいも色々。おいしい食事やおつまみはもちろん、地酒も日本酒、ワイン、ウィスキーと充実しています。
藤原:出店者も地元や東北地方から来ていて、雰囲気が温かい。福島駅からシャトルバスを利用すれば、お酒も飲めるし。福島交通さんの協力の下、待ち時間も少ないので、ぜひバスで快適にお越しください。
引地:福島は広いので、自分の住んでいるエリア以外のことをあまり知らなかったという方もいますが、ここには福島の味や楽しさをぎゅっと集めているので大人も子どもも楽しめると思います。
藤原:キッズエリアもあって、子どもたちもとても楽しんでいました。
佐藤:デイキャンプエリアもあるので、テントを張って、そこで休みながら過ごすのもおすすめです。今回はよりキッズエリアを充実させて、家族で安心して楽しめるように準備していきます。

改めて「LIVE AZUMA2024」の魅力とは?
佐藤:ロック、ファンク、ヒップホップなど、今回も幅広いジャンルのアーティストの出演が決定しています!多彩な音楽を自由に楽しめるのが「LIVE AZUMA」の魅力です。
引地:大人がチケットを持っていれば、小学生以下のお子さんは無料でライブを見られるので親子で楽しんでほしいな。大人になって「あの日はめちゃめちゃ楽しかった」と思い出してもらえるような空間作りにこだわりたいです。
藤原:福島には温泉も海も山も、おいしい食事もお酒もあるのですが、その魅力に気づいていない方や東北人気質で控え目な方も多いですよね。福島の魅力の選択肢の1つに「LIVE AZUMA」がなれると良いなと思っています。
今後についての夢や展望をお聞かせください。
藤原:これから5年、10年と続けることで認知されると思います。間口をオープンにしているので、色々な方に関わってほしいし、音楽にも携わってほしい。その中で福島出身のバンドがトリをやるのが目標になるようなステージになったら一番うれしいです。
引地:福島を訪れる第1歩がこの「LIVE AZUMA」だった、という人がいたらうれしい。そして「あれがおいしかった。きれいだった。楽しかった」など、それぞれに見つけていただいて、次の旅行の場所とかお取り寄せとか、福島との接点が増えるイベントになれば良いなと思います。
佐藤:続けることが、まず一番大事で、もう少し規模も大きくしたいという思いもあります。これからも「LIVE AZUMA」を通して色々な表現ができたり、人と人が出会ってつながり、みんなが集まれる場所にしていきたいです。
取材日/2024年7月19日
文/轡田裕美恵
構成/鈴木菜津美