桜花の春は謳歌の春
山桜朝霧わたる 赤き橋 川面に映えて 春ひらけゆく
奥会津・柳津の渓谷をまたぐ朱の鉄橋。只見川の大河を抱く弓のごとく、静かに、しかし確かな気魄をもって雪解けの春を貫いている。融雪の水を湛えた只見川は翡翠の光を解き放ち、岸辺の桜は爛漫とほころび豪雪に耐えた屋根をやわらかく包んでいる。
お立ち台のスキー場跡地に咲き競う水仙は生命の息吹を高らかに告げ、季節の移ろいと彩りを鮮やかに鼓舞している。やがて、只見線の列車がやってくる。鉄路の軽やかな響きは山河に溶け、幾世代を越えてきた人々の営みと共鳴する。
豪雪に耐え幾多の試練を越えてなお走り続けるその雄姿は、郷土の誇りそのものである。自然と人とが織りなす風景は、華美に走らず、ただ凛としてその存在を示す。柳津の春は静謐のうちに永遠の時を刻んで謳歌している。
撮影は旧柳津温泉スキー場の上部。狭い道路だが車で行くことは可能。
文・写真/星 賢孝
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桜花の春は謳歌の春
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