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星 賢孝の奥会津だより

只見町「蒲生岳」を背景に走る只見線列車

年間300日、奥会津やJR只見線の撮影をし続ける郷土写真家・星 賢孝(けんこう)さん。彼だからこそ知る四季折々の“美しき奥会津”をお届け。撮影アドバイスも紹介します。

  • 情報掲載日:2026.05.04
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。
【蒲生岳を背景に走る只見線列車(南会津郡只見町蒲生地内)※2024年5月上旬撮影】[撮影機種:Canon EOS R5、手持ち撮影、絞り優先、シャッター速度1/500、F16、推奨レンズ11~24mm(超広角レンズ)]
【蒲生岳を背景に走る只見線列車(南会津郡只見町蒲生地内)※2024年5月上旬撮影】[撮影機種:Canon EOS R5、手持ち撮影、絞り優先、シャッター速度1/500、F16、推奨レンズ11~24mm(超広角レンズ)]

悠久の刻―巡る季節

山笑みて 紫の風 野に満ちぬ 春ゆく汽車の 影やわらかし…

足元には、カタクリの花。うつむき加減に咲くその姿は、決して華やかではない。さりながら春の光を受けた薄紫の色はひときわ深く、心に沁みてくる。厳しい冬を越え、わずかな一瞬だけ地上に姿を現す小さな命。その儚さ故に確かな季節の訪れを告げてくる。

やがて、遠くからかすかな響きと共に、蒲生岳(がもうだけ)山麓に列車がカーブを描きながら入ってくる。急ぐ事なく、平安の里の呼吸に合わせるように進むその姿は、旅というよりも「帰る」という言葉がよく似合っている。

赤と緑の車体が、春紅葉の色と溶け合い、山の懐へと吸い込まれてゆくその一瞬。風景はゆらめき、そしてまた静寂に帰ってゆく。人の営みと自然の移ろいが互いに主張することなく重なり、悠久の刻を巡り、そして密やかに流れている。

文・写真/星 賢孝

Information

悠久の刻―巡る季節
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