「ふくしま定食部」部員の皆様、あけましておめでとうございます!
2023年も我らの心は食堂の皆さまと共に。美味しく・楽しく・よろしくお願いいたします。
さて、書き初めならぬ定食初めの第64回ふくしま定食部は、創業から100年あまりの老舗割烹にして、定食や石焼きメニューなどもうれしい「うな萬」さんへ、福島稲荷神社詣と合わせての訪問です。


神社西側の信号を渡ると、往来するたびに気になっていた「利き酒セット」の看板が目に入ります。
これはお屠蘇代わりにオーダー決定ということで、まずは入店しましょう。


奥行きのあるエントランスに入ると、お迎えに来ていただくように、奥へとご案内いただきます。専らソロ訪問が多いのですが、今回も調理場前のテーブル席へ。
今年初の定食部ですから、ここは豪勢に「白焼き定食」、そして「利き酒セット」のダブルオーダーです。
まず驚くのが、福島県内の銘酒を中心とした利き酒セットの贅沢な選択肢。せっかく3種選べるので、福島の地酒から奈良萬(喜多方市・夢心酒造)と一生青春(会津坂下町・曙酒造)、福島県外から秋田の刈穂をチョイス。

「うな萬」さんは、敷居が高そうな印象を持たれがちですが、焼き魚定食や石焼きうな丼といったカジュアルなメニューもあって、ここ一番のおもてなしから普段使いまで万能。
個人的に、スマホの入りが良くなりそうにそそり立つエビフライと、耳当てにしたくなる、私の中の“やわらかさオブザイヤー受賞”のヒレカツ2枚がうれしい、「ミックスフライ定食」が好きなんです。

エアで食感を回想していると、「利き酒セット」(1,200円)が運ばれてきました。
お楽しみの飲み比べはもちろん、なんですか、このおつまみ2品のリッチさは!

まずは山芋千切りに蟹身、わさび、出汁を添えた爽やかな一品には一生青春を。食道が喜んでいるのが分かります。
そして、鯛の煮付けには刈穂を合わせて己の味覚リミッターを解除。もう、割烹の料理2品付いて1,200円は、どうかしているレベル。人目を憚らず煮汁もしっかりいただいて、お酒で追いかけて…。
そこへ「白焼き定食」が堂々たる登場です。

ふっくらと脂の乗った白焼きとわさびを脳内マリアージュしただけでもよだれが!
まずは、肝吸いからずぅぅといただきます。お吸い物は温まる上にやさしくて、プリっとした肝も美味いです。

さて、鰻白焼きに箸を入れましょう。
いわゆる関東の焼き。背を開いて40分蒸したのちに焼かれた鰻は、表面に箸が触れると僅かにサクッと、頬張るとふわっと溶けるよう。
残しておいたお酒と合わせてももちろん、口中の宇宙は豊か。
鰻には付きものの奈良漬けも好物。奈良にゆかりの夢心酒造さんの「奈良萬」。勝手に“奈良・奈良セット”を作って味わいますが、合わないわけがないですよね。旨み全開です。


鰻→お酒→鰻→ご飯→奈良漬け→お酒→鰻…と、堪らないサイクルに大満足。
ひと息ついて、女将さんにずっと疑問に思っていたことをお伺いしました。
稲荷神社の狛犬の台座に、割烹組合、芸妓屋組合、待合組合から昭和13年奉納と刻まれているのですが、その中に「うな萬/萬清」さんの名前が無いのです。


それは、元は「玉萬」さんを起源として、弟さんであった初代店主が花園町でかまぼこを作られていたからだそう。当時の上町バスターミナル隣りで、料理店として「萬清」さんがスタートしたのが昭和20年の頃。
狛犬が奉納された当時は花園町にいらしたことが分かり、その歴史に触れられたこともうれしかったです。
当時は、チンチン電車が走り、中合デパートが大町にあった時代。上町が福島市の中心で、「萬清」さんの向かいには、当時の最先端“純喫茶サボイア”。「休憩時には料理人さんたちも通っていたんですよ」と懐かしそうに仰います。

昭和28年からは、現在の場所に移転され、1階は「うな萬」さん、2階は「割烹 萬清」さんとして営業されています。
神社の北側、北裡エリアには、かつて歌舞伎や大衆演劇が行われていた「新開座」があったので、舞台役者が食事をしたり、帰りに食事を楽しむ見物客などで賑わったのかなとか、当時の賑わいを想像してしまいます。
そんな情景を経て、創業100年超の老舗割烹は、今日も宴席やお昼の食事をてきぱきと切り盛りされる女性スタッフの、忙しい中にも朗らかな活気に溢れる大好きな空間でした。
次回は、うな重にしようかな。
ごちそうさまでした。
Information
和風れすとらん うな萬(うなまん)
- 住所
- 電話番号
- 024-522-4239
- 営業時間
- 11:30~14:00(13:30ラストオーダー)/16:30~20:30ラストオーダー
- 休み
- 毎週月曜日
- 駐車場
- あり
- リンク
-
http://una-man.com/
- 備考
- キャッシュレス決済/JCB、VISA、マスター、他