
経済発展を支えた会津地域の水力発電!
1951年の東北電力設立当時から、戦後復興、そして東北・新潟地域の発展を電力供給の面から大きく支えてきたのが、会津地域の水力発電。
2023年度末において東北6県・新潟県には、東北電力が所有する水力発電所が計203(※1)カ所あり、これは全国の発電事業者の中でも、最多の保有数です。そのうち福島県内には59カ所の水力発電所があります。
(※1)一部、東北6県・新潟県以外(長野県)に位置する発電所を含む。
今回取材した上野尻発電所は1958年に水車発電機3台で営業運転を開始した最大出力52,000kWのダム式発電所。2002年には第二上野尻発電所が建設されました。第一、第二合わせて年間約3億kWhの電気を生み出すことができ、約89,000世帯分になります。
設立当時の水車1台当たりの使用水量は本邦最大とも言われる記録的なものでした。東北電力の初代会長である白洲次郎は徹底した現場主義を貫き、自ら四輪駆動のランドローバーを操り、阿賀野川水系の電源開発に取り組む社員を励ましたそうです。

水力発電とは…

水力発電は、ダムや貯水池に貯めた水を高い位置から低い位置へ流し、その流れでタービンを回転させて発電する仕組みです。
水の位置エネルギーが運動エネルギーに変わり、タービンが回転することで発電機が動き、電気エネルギーが生成されます。生成された電力は送電線を通じて供給されます。再生可能エネルギーとして環境に優しい発電方法です。
水力発電の安定運転に欠かせない細密点検

安定した水力発電所の運転には設備のパトロールに加え、水車発電機を停止して行う大規模な分解点検(細密点検)が必要不可欠。
今回は18年ぶりの細密点検。6年毎に実施している普通点検により、分解点検が必要と判断された場合に実施しているそうです。水車発電機の型式や機器の状態などによって異なるが、概ね16〜19年の周期となっているとのこと。
取材当日は3号発電機回転子の吊り出し作業を見学しました。
細密点検では0.01mmの精度が求められ、熟練した技術が必要です。無事に吊り出しが完了した際は取材した私も思わずガッツポーズ!吊り出し作業は水平間隔を維持しながら行われるので、緊張の瞬間でした。


水の恵みを豊かなくらしのエネルギーに変えるために

細密点検の様子を見た後は、1号機の発電機内部にも潜入!目では追えない速さで回っていました。取材の間にも電気が作られていることを実感。
案内していただいた東北電力会津発電技術センターの今野水力電気課長は「水力発電は発電時にCO2を出さない非常にクリーンなエネルギーです。これからも皆様に安定して電力を供給するためにも安全・安心な水力発電所の運転を目指していきます。」と語っていました。
「東北電力奥会津水力館みお里 MIORI」(福島県大沼郡金山町大字中川字上居平933番地/0241-42-7771)ではアートや映像など多彩な展示を通じて水力発電の仕組みや、只見川水系における電源開発の歴史や奥会津の様々な魅力を発信しているので、気になる方はぜひ!