只見線・残り柿の情景
厳寒峡谷を、二両の小さな列車が音もなく進んでくる。山々の樹林は純白の雪花の衣を纏い、凛とした美しさを威風堂々と鼓舞している。柔らかい雪花に包まれた残り柿の赤い実は、寒風にさらされながらも艶やかに揺れ、幼子のように微かに震えている。
列車が峡谷を渡ると、その車輪に共鳴するかのごとく、密やかな雪煙を天空彼方に舞い上げている。厳しくも清らかなこの峻厳な風景の中で列車は人々の喜びや悲しみ、そして儚き夢を乗せながら一瞬の風のごとくに過ぎ去っていく。
艶やかに熟した柿の実には小さな鳥が群がりその実をついばみ、厳しい自然の中にも温もりを添える情景が広がっている。悠久の風は千古より巡り来て永遠に変わることはない。
撮影は滝谷(たきや)駅側の滝谷川橋梁の駐車場から。「残り柿構図」は民家の敷地からの撮影になるので許可が必要になる。レンズは標準でもOK。
文・写真/星 賢孝
Information
柳津町「滝谷川橋梁」のビューポイントから撮影した只見線列車
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