雪鏡の黎明-かねやまふれあい広場
雪しろの 谷にひとすじ 汽笛こゑ朝日を抱きて 冬は目覚めぬく
夜の帳が溶け、峡谷に薄明の光が満ちてくる。凍てつく空気を裂いて列車が静かに軋みを響かせてやってくる。霊峰は一夜にして白金の衣をまとい水鏡は天空の光芒を映している。山稜が金色に燃え立つと、その輝きは湖面に反射して、列車を淡く照らしてくる。
黄と緑の帯を持つ車両は、冬景にひと筋の生命を描く筆致のようだ。列車は奥会津の静寂を揺らし、やがてまた、永遠の静けさの中へと吸い込まれていく。
この一瞬を誰が見届けるのだろう。雪深い渓谷に刻み込まれた小さな軌跡を見つめ続ける者の心には、きっとこの光景が永遠に焼きついて離れないに相違ない。それこそが、冬の只見が見せる奇跡であり、沈黙の中に息づく命のきらめきなのであろう。
レンズは広角、彼方の大志集落も捉えるなら200mm以上のズームレンズが欲しい。車は広場に駐車を。
文・写真/星 賢孝
Information
金山町「かねやまふれあい広場」から撮影した只見線列車
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