福島高校「JAZZ研究部」所属、2019年4月から新3年生となるソロギタリスト・杉内浩介。アコースティックギター1本で、インストゥルメンタルを奏でるという高校生としては珍しい演奏形態で活動している。2019年2月には、「フィンガーピッキングコンテスト 東日本予選」にて最優秀賞を獲得。今後が期待できる若きギタリストにインタビューを敢行!
―ソロギターという演奏スタイルは、高校生ではあまり見かけないように思います。始めたきっかけは?
杉内「ソロギター中心のライブハウスというのが須賀川にあって、そこに有名なプロの方が来るということで、ライブを見に行ったのが大きなきっかけです。プロの方の演奏を見たり、その方々と話したり、自分の演奏を聴いていただいたりして、自分にもできるかも!と思って、ソロギターというスタイルを選びました。
その須賀川のライブハウス『Vit Dalarna』に初めて出演したのが、2017年、高校1年の6月。本格的に活動し始めたのはその時からです。
高校生でソロギターとして本格的にライブ活動をしているのは、全国的に見ても数人だと思います。地元では、弾き語りを含めても、ソロで活動している人が同世代にあまりいないですね」
―これまで、ギターはずっとやられてきたのですか?
杉内「正直はっきりとは覚えていないんですけど、中学2年生くらいですね。兄が先に始めていて、アコースティックギターが家にあったので……実は、小学生くらいに一度ギター触ってみたんですけど、全然弾けなくて挫折しました(笑)。少し時間が経って、また弾いてみようかなと思って、ギターを弾き始めました。
最初は、知ってる曲とか弾きやすい曲の楽譜を買ってきて、弾き語りをしてました。人前で演奏するわけではなく、自分で弾いて遊ぶ感じ。今は歌が入らないインスト音楽を中心に、ジャズやクラシックなどを弾いています」
―先ほど、2017年6月にライブハウスで初めてライブされたと仰っていましたが、初ライブはいかがでしたか?
杉内「人前で演奏するのが初めてだったので、相当練習はしていったんですけど、やっぱり緊張しました。指が震えて、ミスタッチも多かったです。声は使わず、ギターの音だけを鳴らすので、緊張がそのまま演奏に出てしまって。あまり良い演奏ができなかったと思います。
昨年(2018年)は本格的にライブに出ようと思って、平均で月に3、4回くらい出ていたので、今はもうほとんど緊張せずに演奏できるようになりました」
―インストゥルメンタル楽曲の魅力とは?
杉内「インストは、歌がないのが1番の特徴。言葉をのせられない分、言葉にできない想いとか風景のイメージとかを、音で表現できるのが魅力だと思います」
―ギターの弾き方の特徴はありますか?
杉内「ピックを使わない、指弾きで演奏しています。ただ、演奏用に右手の爪を伸ばしているので、ピックに近い形で弾くことができるんですが、ピックで弾くよりもまるい、やわらかい音になると思います。アコースティックならではの、やわらかくて落ち着いた印象の音になるのが特徴です」
―プロの方に演奏を見てもらった際に、印象に残っているアドバイスがあれば教えていただきたいです。
杉内「どうしたらキレイな音が出せるのか、はっきりした音が出せるのか、そういう技術もたくさん教えてもらいましたが、「演奏が正確なだけがすべてじゃない」っていう言葉は印象に残ってます。ライブで1番大切なのは、観てくださる方に楽しんでもらうこと。弾くのが難しい曲もあって、ミスタッチしてしまうこともあるんですけど、それを気にすると表情がこわばってしまって、楽しいライブにはできないので。ミスがあっても、お客さんに楽しんでもらえればライブとしては成功なんじゃないかなと思っています」
―活動する上で、影響を受けた音楽や、アーティストについて教えてもらいたいです。
杉内「高校でジャズ研に入っているので、その影響でジャズはよく聴いています。あとはソロギターでやっているプロの方の演奏とか。
須賀川のライブハウスで1番最初に見に行ったのは、ソロギタリストの岸部眞明(まさあき)さん。他の方と比べると、しっとりとした、おとなしい雰囲気の曲を弾く方で、アコースティックギター1本でこんなにキレイな音が出せるんだ!って衝撃を受けました」
―杉内さんがTwitterに上げていた演奏動画をいくつか拝見したんですが、確かにリラックスできるような曲が多かったですね。
杉内「ソロギターって本当に色んなジャンルができますし、演奏技術がすごい方もたくさんいますが、僕の場合は「すごい」よりも「キレイ」とか「良い曲だな」とか感じてもらえる曲を弾きたいと思っています。特にオリジナル曲は、風景をイメージさせられるようなものにしたいと思って作ってます」
―2月に開催された「フィンガーピッキングコンテスト 東日本予選」では、最優秀賞を受賞されました。出場してみて、いかがでしたか?
杉内「いわゆるソロギターの大会だったんですが、コンテストなので緊張しました。審査員の方々に指先を見られている気がしてさらに緊張して…。ステージで弾いているときは「やばいな」っていう感覚でした。ミスもあったので、結構落ち込みました。でも終わった後に、そのとき録った動画を見たら、思っていたよりは悪くなかったので、この結果につながったのかなと。ただ、自分が選ばれるとは思っていなかったので、信じられなかったですね」
―3月30日(土)、横浜で本選があるとのことですが、意気込みをお聞きしたいです。
杉内「この大会、音源とライブのどちらでも応募ができるんですが、セミプロみたいな方が音源で応募されていて。そういう方も本戦に出場されているし、高校生は自分しかいないので、挑戦するような気持ちでやりたいと思います。持ち時間は、2曲で5分。短い時間に、自分の個性や魅力を詰め込んで演奏できればなと」
―4月19日(金)には「Player's Cafe」で開催する『aro×りさボルト&Hys「上昇気流にご注意ツアー」』福島公演に出演されます(詳細は下記)。どんなステージにしたいですか?
杉内「自分の演奏はもちろん、ソロギターという演奏スタイルを初めて見られる方も多いと思います。みんなが知っている曲のアレンジを多くしつつ、オリジナル曲も入れたセットリストで、ソロギターの魅力を伝えられるステージにしたいです」
―今後はCD制作なども行っていきますか?
杉内「実は、昨年(2018年)の12月にCDを作ったんです。「フィンガーピッキングコンテスト」に音源応募するために、知り合いの方にレコーディングしてもらったんですけど、せっかくだからCDにするかという話になって。応募用の2曲に、さらに曲を追加して4曲で1枚に。正式なものではないんですけど、とりあえず今できるものをCDとして残してみました。レコーディングはライブとは違う緊張感があって、すごく良い経験になりました。
CDの総タイトルは「Strugglr(ストラグル)」。「あがく、もがく」という意味の単語で、2曲目の曲名と同じです。同級生が作った演劇を観て作りました。結構暗い雰囲気の演劇だったので、主題を汲み取りつつ、少し激しめの曲に。高校生とは思えないクオリティの高さにも刺激を受けました。1番新しく作った曲で、思い入れが深いので、CDのタイトルにも使っています。
ライブ会場で販売しているので、ぜひライブに来て、手に取ってもらえたらうれしいです」
―最後に、これからの目標を教えてください。
杉内「作曲能力とアレンジ能力を伸ばして、よりお客さんに良いと思ってもらえる楽曲を作っていきたいです。これっていう方法はないと思うんですけど、好きな曲をたくさん聴いたり、プロのライブを見たりして、力を付けていければと思います」
バンド活動する同世代が多い中、ソロギターというジャンルを選んだ杉内さん。演奏にかける情熱が伝わってきました。インタビューの中でも触れている通り、本人のTwitterアカウントで演奏動画がアップされているので、ぜひチェックしてみてください!
★「日刊シティ情報ふくしまWeb」をご覧の皆さんに、杉内浩介さんからメッセージ!
Information
aro×りさボルト&Hys「上昇気流にご注意ツアー」
出演/aro、りさボルト&Hys、杉内浩介、土士 他
- 開催期間
- ※本イベントは終了しました。
2019年4月19日(金) 18:30開演 - 会場名
- Player's Cafe
- 会場住所
- 料金
- 2,000円(1ドリンク別当日500円)
U-ONE MUSICで発売中 - 問い合わせ先
- U-ONE MUSIC
- 問い合わせ先
電話番号 - 024-597-7202
取材協力/U-ONE MUSIC 阿部さん(@outline1)
撮影/むとうさん(@k_rock_mt)
撮影場所/U-ONE MUSIC