夏到来!今年のお盆は故郷に帰省される方もいらっしゃるかと思います。第71回のふくしま定食部は、田村市船引町の「せがわ食堂」さんへ心と舌の帰省です。
福島市から国道4号線を南下。安達ヶ原まで来たら立体交差で西へ。旧岩代町を抜けた田村市の入り口は旧船引町。瀬川小学校を左折すると「せがわ食堂」さんの看板がひょっこりとお出迎え。
夏の青空に映えるアイボリーの風合いに見惚れつつ、藤色の暖簾を潜るとそこは理想的な食堂の風景。
正面に厨房、左にテーブル、右に座敷の構成。ここは座敷にあがって足を伸ばしたくなりますよね。
場所を決めて、積まれた中から座布団を1枚引き抜いたタイミングで、お冷を運んできてくださいました。
迷いますが、やっぱり代名詞の「モツ定食」を。そして今日は餃子とコーラも追加でお願いします。
暑い日の訪問でしたので喉がカラカラ。このロケーションですもの、瓶のコーラがよく似合います。汗をかいたコップも、その中のシュワシュワ気泡も夏らしさを演出します。
実家にいるようにリラックスしていると、お待ちかねの「モツ定食」が到着です。
はやる気持ちを抑えつつ、ご飯の蓋を何かの儀式のようにオープン。
蓋に乗った漬け物は、梅干しとキュウリが2ストライク3ボールの表示のように充実。
さて、メイン皿には半日かけて仕込まれる“ふわプル”な白モツ。ほんのりニンニク香る甘めな味噌味に煮込まれて芳醇なコク。口の中でほどけて消えていきます。
そして脇を固めるサラダの色鮮やかさは、ギニア共和国国旗を彷彿とさせる赤・黄・緑。味わい以外にも、褐色オンリーのモツを引き立てます。
ここで、人気のモツ定食を差し置いて、メニューのトップに君臨する餃子が到着です。
表側、言わばA面はイケ面な焼き面。「せがわ食堂」さんの餃子はB面が本領。たっぷりの具材をギュギュギュっと詰め込んだシルエットは、見るからに味も栄養もグラマラス。肉の旨みとキャベツの歯ざわり、ニラとニンニクの風味がひと噛み毎に溢れます。
終盤のアディショナルタイムは、モツの波打ち際がキャベツに侵食して混然一体の宇宙。イタリアンのソースをパンで拭うかのように、むしろキャベツで味噌まで残らずいただけるありがたいシステム。
取材日は穏やかな平日でしたが、土曜の昼は入店待ちができる賑わい。厨房で鍋を振る音、無駄のない動きの配膳、お客さんの会話の其々が醸し出す活気も心地良く、いわゆる食堂らしい食堂の活気に包まれていて、その雰囲気も大好きです。
そんな土曜日にいただいたのは「冷やし中華」。トマトとパイナップルの背中合わせはシャネルマークのよう。からしとマヨネーズをスープに溶かしてチューニングしたのち、麺をガッと掴んで豪快に頂けば暑さも吹き飛ぶ爽快さ。
もちろん、麺類注文のときは「ミニモツご飯」の追加は必須です。
昭和56年、先代が縁あって瀬川の街道沿いに創業。「せがわ食堂」さんのあったかさと優しさは、スタッフのみなさんも含めて地元食堂だからこそ醸し出される旧船引町・旧瀬川村プライド。
いつまでも在り続けていただきたい瀬川村の風景。女将さんは「こんな遠くまでありがとうございます」と仰いますが、この味、この雰囲気を味わうためなら近いものですよ。(実は二本松市からすぐなので、意外と近いんです)
また寄らせてくださいね。
ごちそうさまでした。
Information
せがわ食堂
- 住所
- 電話番号
- 0247-84-2901
- 営業時間
- 11:00~18:00
- 休み
- 毎週日曜日
- 駐車場
- 4台