こんなに登場してるのに、なぜ地元のこけしが…
このドラマでは、かなり頻繁に「こけし」が登場しています。喜多一呉服店の客間、川俣銀行の受付、裕一の家の居間や仕事部屋など、あちこちにさりげなく。「東北らしさ」が伝わってくるので、こけしが登場するのは大賛成!ですが、ひとつだけ引っかかっていることがあります。
それは、いまだに「土湯こけし」が登場していないことです!
「遠刈田」「鳴子」と並ぶ三大こけし発祥地として知られる「土湯温泉」。福島市西部にあるこの温泉地では、今も「土湯系」と呼ばれるこけしがたくさん作られており、それを買い求める若い女性ファンも増えているとか。
郷土を代表する土産物としてはもちろん、かわいい雑貨としても、確固たる地位を築きつつあるのが土湯こけし。そんな有名なこけしが地元にあるので、多くの福島市民は「こけし=土湯こけし」と認識していると言っても過言ではありません。
今回のドラマは福島が舞台。なら当然、画面に映るこけしは土湯こけしであるべき。そう考えるのが地元民の感覚です(きっぱり!)。
ドラマ放送の第一週目から、こけしは何度も画面に登場します。最初のうちは、「あれ?土湯こけしじゃないかも」と思ったものの、「でも、そのうちちゃんと出てくるでしょ」と、タカをくくっていました。しかし、放送回を重ねても、なかなかそれらしいこけしは出てこない…。
どうしても気になったので録画していた放送をすべて見返しました(←好きでやってます)。すると、のべ20体以上は登場しているのに、やはり土湯こけしは1体も見当たりませんでした(見逃していたらごめんなさい)。今まで登場したこけしは「鳴子系」「弥治郎系」「作並系」など、福島県外のものばかりです(たぶん)。
このドラマでは、これまで地元のお菓子や食べ物などを積極的に取り上げてくれています(福島・豊橋両方とも)。おそらくそこには、地元の活性化に貢献しようとの意図があるはず。それなら、こけしだって、地元のものを登場させてもいいようなものなんですが…。う~ん、理解できません。
しかも、福島市の「古関裕而記念館」内に再現されている「古関先生の書斎」には、しっかりと土湯こけしが飾られているんですよ!
今まで、美術・デザイン面では、かなり細部にまでこだわる姿勢を見せていたドラマだけに、そこだけ見落としていたとは思えません。もしかして、何かの意図が隠されているのかも(例えば、土湯こけし絡みの大きなエピソードがこれから用意されていて、その時に満を持してドーンと出てくるとか…)。とにかく、ドラマの後半以降に、土湯こけしが登場することを願わずにはいられません。
え?こけしの違いが分からない?そんな方のために、土湯こけしの特徴をごく簡単に3つ紹介します(すごく浅い知識ですが…)。
(1)頭頂部にある「墨一色の蛇の目模様」
(2)側頭部にある「大ぶりの赤いカセ(髪飾り)」
(3)胴体の「ロクロ模様(ストライプ線)」
今後、画面にこけしが映ったら、この特徴があるかどうか、ぜひチェックしてみてくださいね。
※今回の原稿作成にあたっては、「原郷のこけし群 西田記念館」様にご協力いただきました。