第29回のふくしま定食部。
11月は七五三の季節。きれいに着飾ったご家族で賑わう福島市飯坂町の中野不動尊にある、『茶屋 かもしか庵』さんを訪ねます。
福島市内から西へ。十六沼を抜けると、前方に「中野不動尊」が見えてきます。
滑り込むように駐車し、参道沿いのおみやげ店前を歩くだけでもその情緒。七五三をお祝いする雰囲気に、なんとも気分が高まります。


本当は茶屋へ直行したいところですが、せっかくですから参道を辿って、中野山を散策してみることに。
祈祷殿や、不動明王の弟子である三十六童子が祀られている「奥の院洞窟」、大日堂に不動滝。以前に訪れた際の記憶もよみがえりますが、こうしてゆったりと観ると趣があります。改めて中野山の由来を知り、もっと早く再訪すれば良かったと後悔。


中野山は、開かれてからおよそ840年。恵明道人(えみょうどうにん)が一匹のカモシカに導かれて入山、山神のお告げを受けて三ヵ月不動明王を祀り、九字の火を点したのが始まり。今も洞窟の中には、その聖火が燃え続けています。
感慨にふけりつつ、参道を進みながらも、やはり気になるのは、「縁起そば」ののぼりや「茶屋 かもしか庵」の案内板です。
恵明道人を導いたかもしか同様、参拝で歩いて、ちょうどお腹もすいてきた私を茶屋へと導きます。


茶屋の店先には、おみやげのほかに、ひと際目を引くおでんブース。火にかけられた甘酒も何とも魅力的。
そこから数歩先には食堂エリア。「お茶が入ってますからどうぞ~」と、お茶に負けないくらい温かな声で迎えていただきます。


今日は秋晴れ。景色も良いので窓際のテーブルを選ぶと、ちょうどメニューの貼り紙が日差しに透けて鮮やかでもあり、テトリスの縦長なのが来たようでもあり……いい景色です。
そんなことを考えていたところに、注文を取りに来ていただいたので、ここは参道で見かけた、「びっくりきつねそば」を。それと、先ほど惹かれた味噌おでんも追加しましょう。


サービスの薬草茶「十貴茶(とうきちゃ)」をいただきながら待っていると、「びっくりきつねそば」と味噌おでんの到着です。

そばを見るなり、雨天中断でシートを掛けられた野球グランドのようなビジュアルで本当にびっくり!
さっそく、コタツの猫を呼び出すように揚げをめくってみます。


揚げから旨み染み出る、甘みのあるつゆ、インゲンの食感もいいアクセント。卓上の柚子七味をさっと振りかければ、色づいた俎板山(まないたやま※)のよう。そばをすする度に良い香りです。
※福島市大笹生の山林。中野不動尊からほど近く


ここで、味噌おでんに箸を移します。
コンニャク3本に豆腐1つ。そこに自家製の柚子味噌が惜しげもなく載って、重厚な旨みの中に柚子の香りも爽やかな逸品。
無限階段といいましょうか、ドミノのあとの余韻といいましょうか、もたれかかるコンニャクに愛おしささえ覚えます。


あまりにも旨い柚子味噌がもったいなくて、できるだけおでんに載せようと頑張ります。
すっかり温まって茶屋を出た帰り道。
参道に並ぶおみやげ店の雰囲気には思わず足を止めたくなります。今回購入した柚子味噌と焼生姜の佃煮はおススメですね。


秋晴れのゆったりとしたお昼。
七五三の賑わいをBGMにいただいた「びっくりきつねそば」は、むしろ「ほっこりきつねそば」でした。
次回は洞窟めぐりをしてから訪問します。
ごちそうさまでした。
Information
中野不動尊 茶屋かもしか庵
- 住所
- 電話番号
- 024-542-2100
- 営業時間
- 8:30~17:30
※10月は~17:00、11月は~16:30、12月は~16:00
※営業時間はお問い合わせください - 休み
- 年中無休
- 駐車場
- 中野不動尊P