第32回の「ふくしま定食部」は、国道4号線と福島県庁前通りを繋ぐ、きれいに整備された北町の『中国料理 珍満賓館』さん。
周囲はレンガ調で統一されたかのような街並み。その一角に、創業73年を誇る福島市のパワースポットと言っても過言ではない、珍満賓館さんはあります。

前のお客さんが通った自動ドアが開いているうちに、滑り込むように入店です。
最近は宴会での利用が多いのですが、今日は一人。久々にカウンターへ案内していただきます。
整然と並んだ調味料たちを取り囲む、中国悠遊紀行やこけしといったアイテムも気になりつつ、メニューに目を通します。


今日は、中国料理の名店にあって人気のカレーをいただこうと決めておりました。メニューを見たのは、そこに追加する単品を見たかったからなんです。
カレーとの組み合わせというのと、ネーミングから「レモンドリ」をチョイスすることにしましょう。
お目当てのカレーは「ビーフ」も考えましたが、プリップリなエビを想像したら迷いは消えました。今日は「えびカレー」で決まりです。
お話を伺いますと、先代は73年前に料理人として台湾から東京、そして会津へ。その後、県庁所在地でお店をと福島市へ移られたとのこと。


当時、中国料理は『珍』しく、『満』ちあふれた気持ちになる料理を広めたい。そして、お越しいただいたみなさんが、ホッと安らぐ場所でありたいと、中国語でホテルを意味する『賓館』を添えられたそうです。
たくさんのお客さんで今日も賑わっていますが、お得なランチメニューも人気ですね。
そこに、銀色に輝くカレーポットと、レモンドリが運ばれてきますから、なんとも特別感があります。


カレーをすくいライスに滴らせる、この所作もどこか儀式的に振る舞ってしまうほど、カレーポットはテンションが上がるものです。


小川に笹舟を浮かべるように、優しくライスにのせたエビは、薄い衣を纏ってプリップリ。それを追いかけるように織りなすルーのリッチさは、ホテルのカレーさながら、まさに『賓館』の風格。
唸りながら、深みのあるカレーをひとしきり堪能しますと、一緒に到着していたレモンドリのインパクトある佇まいに一旦箸を移さずにはいられません。

スパイシーな味わいから一転。餡の甘みと、レモンの爽やかな酸味でさっぱりとしたレモンドリは、まるで圧力鍋にかけた大八車のようなビジュアル。
欲張りに、添えられたスプーンで、さっくりと揚げられた鶏肉にできる限り餡をかけ増ししたくなります。


カレーとレモンの往復は楽しくもくせになる緩急。珍満賓館さんの豊富なメニューに、客人をもてなす懐の深さを感じます。
赤を基調として、円卓を備えた正統派の中国料理店。『貴賓室』があることを始め、知れば知るほど好きになるお店、それが珍満賓館さん。
以前、定食部員とおじゃまして、カレーポットで乾杯させていただいた際の思い出の写真は、女将さんの笑顔も含めて宝物の1枚です。

次回はまたワイワイとおじゃましたいですね。
ごちそうさまでした。謝謝!
Information
中国料理 珍満賓館(ちんまんひんかん)
- 住所
- 電話番号
- 024-522-4379
- 営業時間
- 11:30~21:00 (日曜祝日は~20:00)
- 休み
- 第3火曜日
- 駐車場
- 17台