ふくしま定食部(Facebookグループ)は、ついに部員10,000人を達成しました!当連載コラムと合わせ、今後ともよろしくお願いいたします。
『そば処 花月庵』は閉店しました。
第42回の「ふくしま定食部」は、国道13号福島西道路「ヨークベニマル 吉倉店」の南東かど。幹線道路から一歩入った場所にありながら、地元はもとより遠方からのファンも多い『そば処 花月庵』さんを訪問します。

暖簾を潜り引き戸を開けると、ブラウンを基調とした空間が広がります。
手入れの行き届いた、気持ちの良い店内からも仕事の丁寧さがストレートに伝わってきますね。


実は店主、手にケガをされて厨房に戻ってきたばかり。
しかし昨年(2020年)、東京の蕎麦店や日本料理店で17年間研鑽を積んだ二代目が厨房に加わっていたことで、この間も店の人気は変わりませんでした。
私も店主の味わいが好きでおじゃまし始めたのですが、二代目が打つ蕎麦や、創意あふれる料理も加わった今の初代・二代目共演の良いとこ取りスタイルのファンに。
現在は昼のみの営業のため絞り込まれていますが、こだわりのメニューがずらり。
蕎麦も魅力的ですが、今回は定食部ですから、スポットでメニュー入りしている「鹿児島産ヤイトカツオの刺身とおそばの定食セット」をいただきましょう。
蕎麦は温かいのも冷めたいのも選べますが、私はいつもせいろを付けていただいています。


そば処の「花月庵」さんですが、長年ファンの多いカレー系メニューにも触れなければいけませんね。
二代目が入られた際に一度メニューから外れましたが、お客さんの反響の大きさに復活した花月庵さんの看板メニューのひとつ。
ブラッシュアップを敢行したカレーライスは、豚肉から和牛のハバキへ部位を変更。時間をかけて煮込んだ逸品は、さらに深いコクと食べ応えのある仕上がりに。
蕎麦を選んで、小カレーを添えるのも正解ですね。

また、中太の自家製うどんがモチモチとして心地よい、「カレー南蛮うどん」も復活。どんぶり一面に敷き詰められた豚バラと玉ねぎが、カレーを湛えてうどんと一緒に口まで運びます。
出汁を十分に感じつつ、ほどよいスパイスを楽しめるそば処のカレーは、無性に食べたくなるものです。


しかし、花月庵さんのオススメはカレーだけではありません!定期的に入れ替わるメニューの中でも存在感を放つ定食セットは充実の内容。


さて、待つこと10分ほどでしょうか。
艶やかなヤイトカツオが小鉢とともに運ばれてきました。

スマカツオとも呼ばれる鹿児島産のヤイトカツオは、しっとりとしながらも脂がのって旨み十分。

炙った皮やガーリックパウダーを添えて楽しみます。
この濃口醤油がまたおいしい!


カツオ以外にも小鉢群の充実ぶりがハンパないですね。
パッと見、ロールケーキなのかとさえ思えるほど美しいだし巻き玉子に、あん肝は脇を固めるには十分すぎる陣容。


ここで満足してしまいそうですが、ここからせいろの出番です。

蕎麦とつなぎが10:1の、いわゆる外一の割合で打たれる蕎麦は香りも良く、しっかりとした風味を感じる味わい。噛みしめるたびに風味が広がります。
カツオ節の風味豊かで、まろやかなつゆをくぐした蕎麦は喉ごしもよく、さわやかにいただいて満足です。
同じくせいろでも、メニュー入りしていたらオーダー必至の鴨せいろもオススメ。使用する鴨肉は、「西崎ファーム」(茨城県)の「かすみ鴨」。皮の部分の脂が旨く、蕎麦にぴったり。鴨の甘味、旨みが溶け出たつゆで食べる蕎麦はじんわりと旨い格別の味わいです。


仕上げに大好きな蕎麦湯をいただきましょう。せいろの時は、むしろ蕎麦湯からの逆算と言っても過言ではないです。
落ち着いた空間でいただく贅沢な時間。ふらっと立ち寄れて本格的な蕎麦がいただけるのが本当にありがたいです。
店主がこれまで引っ張ってきたお店。ケガでピンチの時には二代目が居て、これまでの歴史を大切にしながら、新しい感性でチャレンジする姿勢。
花は散ってもまた花を咲かす。月は欠けてもまた満ちる。時代の浮き沈みに惑わされずに継続していくことが、花月を冠していることとリンクしたお店でした。


飯坂町「花水館」の料理人から始められた店主が、最後に勤務された高湯温泉「花月ハイランドホテル」から命名されたとあって、素晴らしいホスピタリティ。
つなぐのは蕎麦粉だけではないですね。お客さんや地域、団らんの時間、様々を繋ぐ場所として町に溶け込み、もはや吉倉の風景の一部。
そういえば、蕎麦湯も段々と高湯温泉に見えてきました!
ごちそうさまでした。

Information
そば処 花月庵
- 住所
- 電話番号
- 024-545-5666
- 営業時間
- 11:00~14:00
※営業時間はお問い合わせください - 休み
- 第3日曜日、毎週水曜日
- 駐車場
- 15台