冬の足音も聞こえ始めた11月。おかげさまで第50回を迎えました「ふくしま定食部」コラム。
今回は年末へと加速し、何かとせわしくなる前に栄養をつけようと、本宮市の「ガーデン金丸」さんを目指します。
国道4号線を福島方面から本宮市に入り、安達太良川を越えたら2つ目の信号を左折。アイボリーの壁に赤・青・黒で大きく書かれた“味処 ガーデン金丸”の文字が出迎えてくれます。
入り口から右手にテーブル、左手に座敷。さらに2階では宴会も可能と、本宮界隈の食の要衝として親しまれています。
仕事帰りの夜にお邪魔する時は、座敷で足を伸ばすのですが、ランチタイムは日の差し込むテーブル席がお気に入り。
メニューも鶏料理専門店らしく、鶏の素材を活かした魅力的なラインアップ。
しかし、ガーデン金丸さんにお邪魔すると、やっぱり“ガーデン特製”の魅力からは逃れられないんですよね。いつもは並をオーダーしているのですが、今回は初めての上でお願いすることにしましょう!
昭和45年に先代が創業された頃は、近隣には石川島産業機械(株)(現在の(株)IHI物流産業システム)など、工場で働くお客さんで賑わったそうで、麺もご飯も食べたいというリクエストから「ガーデン特製」は誕生しました。
また、当時は仕事終わりにお酒を求めるお客さんも多く、安価で旨いものを提供する大衆スタイルになったそうです。
その頃に人気だった、鳥皮を長時間茹でて味付けしたアテ“鳥しろ”が単品はもちろん、ラーメンにアレンジされた“鳥しろラーメン”として現在もメニューに名を連ねていることも感慨深いものです。
※仕入れの都合により品切れの場合があります
同じ本宮市にある「金丸本店」が本家。先代の出でもある本店で修業ののちに、現在の場所で独立されました。
100年以上続く金丸本店さんは、かつては鶏肉を捌く精肉店ということもあり、そこで出るガラなどを活かして食事を提供し始めたことが起源ですから、ガーデンさんの鶏へのこだわりも間違いのないところ。
鶏の魅力が詰まったガーデン特製は、皿盛りされた大振り鶏唐揚げ2つとサラダ、そしてライス。これだけで十分なワンプレートですが、そこにラーメンが付いたのが人気の並。
今回は肉うどんがセットされた上ですから、ワクワクは止まりません。
大きな窓から外を眺めつつ、待つこと10分ほどでしょうか。堂々たる「ガーデン特製(上)」が運ばれてきました。
麺類のスープはすべて親鶏ガラ、親鶏もも肉、香味野菜のみで仕上げられており、すっきりながらも旨味十分。
見つめているとだんだんと顔に見えてくる肉うどんも、濃い色合いながらすっきりと、しかしじんわり旨みのあるつゆ。
肉うどんの肉ももちろん鶏むね肉。そのほかシイタケ、カマボコ、ダブルなるとに葱。まるでラグビーボールかのようなシイタケを中心に、ぎゅうぎゅうとスクラムを組んだかのような豪勢な盛り付け。
もちもちうどんを頬張ってつゆを啜る。これだけでも満足ですが、皿盛りの唐揚げが待っていますから箸を移しましょう。
外側はサクっと香ばしく、中はしっとり柔らかな唐揚げは、今年のクリスマスはこれにしようかと考えたくなるほどの逸品。
鶏の旨み溢れる肉うどん、ジューシーで大振りな唐揚げ、本宮産コシヒカリのローテーションは、周回を重ねるごとに体に活力がみなぎってくるようです。
パセリまですべて平らげて、アイスコーヒーでひと息ついた頃でしょうか。1人の来客がありました。それが食事ではなく道を尋ねての訪問でしたが、住宅地図を出して一緒に探されていた姿が印象的で、食堂のあったかい部分をお裾分けしていただいた気分です。
以前より気になっていた、店名の“ガーデン”の由来についてお伺いすると、ゴルフガーデンという練習場の跡地に創業された際に、そのまま「ガーデンレストラン金丸」にしようかと考えたことがスタートだったとのこと。
すっかりお馴染みのガーデンの名称。まさか50年以上も前のゴルフ練習場の名前を承継していたとは思いませんでした。
本宮市に根差したガーデン金丸さん。歴史に裏打ちされた鶏料理と、あったかくて安らぐ空間に包まれたくなったら、またお邪魔させてくださいね。
ごちそうさまでした。
Information
ガーデン金丸
- 住所
- 電話番号
- 0243-33-4281
- 営業時間
- 11:30〜14:30(14:00ラストオーダー)/17:30〜20:00(19:30ラストオーダー)
※スープがなくなり次第終了 - 休み
- 毎週火曜日
- 駐車場
- 10台