第67回のふくしま定食部は、気忙しい年度の狭間に癒やしを求め、以前通っていた福島市笹谷で初心を思い出すべく、「まるみ食堂」さんを目指します。
春めき始めた3月も下旬。ぽかぽか陽気を想定していましたが、なぜか訪問日に雪が降るのが定食部…。
それでも飯坂電車で6駅の小遠征を決行です。
笹谷駅から、住宅地の路地を抜け西へ5分ほど。
飯坂街道から十六沼へ向かうY字路、「第一病院」向かい言うと分かりやすいですね。
引き戸を開けてお邪魔すると、温かくて生き返ります。
寒かった外を振り返ると、ガラスの店名を透かした日差しが美しいですね。
今日は、全景を見渡せる一番奥に陣取りましょう。
これまで、お昼にお邪魔することが多かったのですが、場所柄、紳士たちの病院帰りのクールダウンとしてビールを嗜んでおられたのが、眩しいほどに羨ましかったんです。
雪のなかの電車訪問は、この積年の思いを成就させるためでした。
まずは、ビールと名物の「穴子天丼」を天ぷらだけでオーダー。メニュー表にはありませんが、お願いすると穴子天を単品でいただけます(480円)。さらに、「焼肉定食」も時間差でお願いします。
まずは先行して瓶ビール(600円)が到着。お通しは、ひと口では頬張れないほどの冷奴が2切れ。
ぐっとグラスを煽ったら、カウンターの下や書棚にずらりと並ぶ、油断ならないラインアップのマンガをチェック。
谷口キャプテンの情熱にビールが捗っていたところに、穴子の天ぷらが運ばれてきました。
大概、まるみ食堂さんでは穴子天丼→なべやきうどん→焼肉定食のローテーション。
以前は、麺類に「ミニ穴子天丼」がセットできましたが、オーダー頻発で女将さん1人では手が回らず、現在はフルサイズ天丼のみになったほどの人気。
サクふわっとした穴子の脂の乗った甘み・旨みの余韻に、ビールを合わせる至福。
ダイレクトに素材の味を楽しんでも美味。天つゆに浸して染み染みで頂いても美味。なにをどうしても美味なわけです。
今回、ご厚意で添えていただいたふきのとうのほろ苦さで春の訪れを感じました。
ちょうど最後のふきのとうを頬張ったあたりで、焼肉定食が到着です。
肉・ハム・リンゴ・キャベツがトランプを広げたように、ボリューミーに配置されています。
病院向かいの食堂らしく、厚切り肉ではなく、薄切り肉をミルフィーユ状に積んだ配慮。味付けも濃すぎず良い塩梅。
なにより、どうやったらこんなに柔らかく刻めるのかというふんわりキャベツが秀逸なんです。
ひと息つこうと、ずずずっと味噌汁を啜るとこれがまたしっかりと出汁を引いた“旨み汁”。
まるでドラムを叩くかのように、焼肉、ライス、キャベツ、ライス、味噌汁…と箸の往来が止まりません。
女将さんが作るのは、まさにおふくろの味。味と雰囲気に気配りが散りばめられたメニューを求め、紳士たちが通うのも頷けます。
先代の店主、渡辺さんの家紋が“まる3つ”だから「まるみ食堂」と、創業されたのが半世紀オーバーの昭和46年。
昭和60年頃からは、二代目として長らく食堂を守られて来た女将さん。「いつまで有るか分からないですよ♪」などと仰いますが、いつまでも有り続けて頂かないと困ります。
病院向かいの、言わば調剤薬局的な食堂として、内面を健康にしてくださる食堂。
向かいに入院したら、毎日、外出許可で食べに来ますね!
ごちそうさまでした。
Information
まるみ食堂
- 住所
- 電話番号
- 024-557-0751
- 営業時間
- 11:00~18:00
- 休み
- 毎週日曜日
- 駐車場
- 5台