制作陣に福島人の願いが届いた?
このコラムの第13回でドラマの中に登場しないことを話題にした「土湯こけし」が、やっと現れました!!!
東京の古山家では、裕一の仕事部屋の棚にさりげなく飾られ、居間の茶だんすの上にあったこけしは土湯こけしにすり替わっていました。また、裕一たち「福島三羽ガラス」が帰郷した際には、福島の実家の茶だんすの中にあったことも発見しました。
コロナ禍による撮影中断期間に、「土湯こけしを出してくれ~」という福島人の声が制作陣に届いたのかもしれません。まぁ、劇中でも時間が進行している設定なので、ある時期に土湯こけしが古山家にやってきて古いものと交換された、ということにしてあるのかも(ていうか、こけしが入れ替わったのに気付いた人って何人いる?)。
なにはともあれ、福島人としてはうれしいです!ありがとう!NHKさん。
![大正時代前後に活躍した土湯こけしの工人たちの作品。劇中に登場したものをリアルに再現すると、こんな感じの素朴なこけしになるのかもしれません(写真協力「原郷のこけし群 西田記念館」)](https://www.cjnavi.co.jp/assets/uploads/2020/10/b6b30a5d61350bba6ddd06345c4b9843.jpg)
土湯こけしの異端児「たこ坊主」もいつの日か…
せっかく土湯こけしが登場する願いが叶ったので、調子にのってもっと妄想を膨らませることにします。
突然ですが、「たこ坊主」と呼ばれるこけしのことをご存じでしょうか?
これは福島県の猪苗代町にある中ノ沢温泉が発祥の「中ノ沢こけし」の別名です。
![土湯温泉の看板に描かれているのは、土湯こけしをモチーフにしたマスコットキャラクター「きぼっこちゃん」。そしてその隣にある中ノ沢温泉の看板に描かれているのが「中ノ沢こけし(たこ坊主)」。比べると全然キャラが違って見えます…](https://www.cjnavi.co.jp/assets/uploads/2020/10/50520dd6ce06b564c3391e7eeabff4b9.jpg)
「たこ坊主」という呼び名のインパクトはもちろん、アニメのキャラクターのような愛嬌ある顔は、一度見たら忘れることができません(笑)。でも、実はこのこけし、現在ある伝統こけしの11系統上では「土湯系」に分類されています。
私がこのことを知った時、「え~!他の土湯こけしと全然似てないじゃん!」とツッコんだのは言うまでもありません。
そんなツッコミを入れる人がたくさんいるから、という理由ではないでしょうが、近年、土湯系から独立分離する動きがあるとのこと。ぜひ独立を認めてあげてほしいものです。
![愛らしい土湯こけしとは似ても似つかない(?)たこ坊主。こけしマニアの間では根強い人気を誇るとか(ん~、分かる気もする)](https://www.cjnavi.co.jp/assets/uploads/2020/10/ea5151b69a660c58bdcf79834e600517.jpg)
で、たこ坊主が生まれた中ノ沢温泉ですが、実は主人公・裕一のモデル・古関裕而と接点があります。戦後、作詞家の丘灯至夫と組んで作った大ヒット曲「高原列車は行く」の舞台は、旧沼尻鉄道がモデルと言われており、その鉄道の終点が中ノ沢温泉なんです。ということは、何体も家に飾るくらいこけしが好きな裕一なら、そのうちたこ坊主を飾ったっておかしくないとは思いませんか?(強引!)
「高原列車は行く」がヒットするのは昭和29年(1954年)。ドラマがこのあたりの時代を描く頃になったら、裕一の家に飾られているこけしがたこ坊主に入れ替わっていないか、密かにチェックしてみようと思います。