畏敬(いけい)の絶景
うららかな天気に誘われて、自宅前の庭で原稿を打っている。涼風のときめきが運ぶ小鳥のさえずりに、身も心もとろけそうになっている。
この時期からの早朝の涼風は、川面を埋める濃霧を自在に翻弄し、霧幻(むげん)峡谷は神々が逍遥する畏敬の絶景にまで昇華させ、そして瞬時に消滅させる。神々の翻弄に飲み込まれそうになった車両は、辛うじて踏ん張ってその存在を鼓舞している。
シャッターを押す指を休め、耳を澄ますと、ちょうど列車のやさしい笛の音が聞こえてきた。風はのんびり緩やかに流れ、万感至福の夢を刻んでいる。
写真は、早戸駅からめがね橋に向かう列車を「霧幻峡の渡し舟」の上から撮った一枚。乗舟は列車の通過時間を勘案して「金山町観光物産協会」(☎0241-42-7211)、または「霧幻峡の渡し」公式予約サイトから。2022年の舟の運航は11月中旬まで。
文・写真/星 賢孝
Information
三島町「霧幻峡の渡し舟」の上から撮影した、只見線車両
- 住所
- 【今回の撮影スポット】