月の沙漠を
三蔵法師は、シルクロードの過酷さを「空に飛鳥無く、下に走獣無く、夏に水草無く」と表したが、霧幻峡(むげんきょう)には万物の命が満ちあふれ、彼方の山を照らす夕日は、水面に鮮やかに投影されて疑似の沙漠と化している。
蒼天と月の狭間を小舟が浮かぶこの霧幻空間を三蔵法師が旅したら、果たして彼はどんな感嘆の足跡を後世に残したことであろうか。
そんな悠久の浪漫を思わせる蜃気楼のごとき絶景は、今日も満ち満ちと眼前に展開している。
霧幻峡の渡し舟の乗船は予約制で、金山町観光物産協会が運営をしている。月の沙漠のような光景は、紅葉盛りの10月から11月中旬にかけ、晴天の14時以降に観ることができる。撮影は、三更(みふけ)の舟着き場側で行う。ただし乗船をしては撮れないので、岸辺(道路)からの撮影となる。望遠系のレンズ200mmから400mmを用意したい。
文・写真/星 賢孝
※2022年の「霧幻峡の渡し舟」の営業は11月23日(祝)まで
Information
金山町・三更の舟着き場側から撮影した、紅葉に染まる「霧幻峡」
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