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FUKUSHIMA MUSIC INFO

作ることが楽しい――“歌う母ちゃん”ことシンガーソングライター・大平未来インタビュー

vol.25 大平未来

  • 情報掲載日:2019.06.24
  • ※最新の情報とは異なる場合があります。ご了承ください。

やわらかな歌声で、心落ち着ける楽曲を届けるシンガーソングライター・大平未来。バンドに打ち込んでいた学生時代から、就職、結婚、出産を経て、2016年に弾き語りの活動をスタート。2017年秋には、音楽ユニット「□□□(クチロロ)」の“契約社員”の一人に選ばれ、不定期でライブに出演している。“歌う母ちゃん”と自称する彼女が、どのように音楽活動と向き合っているのか、話を聞いてみた。

―まずは、音楽を始めたきっかけを教えてください。

大平「高校の同級生とバンドを組んだのが最初のきっかけなんですけど……それが高校2年生の時なので、音楽始めてからは10年くらい…?わぁ、もうそんなに経ってたんですね(笑)。
そのバンドを組んだ当初は、私がギターボーカルで、ドラムともう一人ギターボーカルがいて、ベースがいない状態。「Mレボ」(※1)に出場するためにベースを探して。阿部さん(※2)の紹介で1歳年下の女の子に入ってもらって、女子4人でコピーバンドとして活動していました。当時すごく流行っていた、YUIの「Rolling star」とか、メンバーが好きな「ELLEGARDEN」の楽曲とか、いろんな曲をコピーしてましたね」

※1:Mレボ……「Music Revolution」。2016年まで開催していたヤマハグループ主催のオーディションイベント
※2:阿部さん……U-ONE MUSICスタッフ。「福島アウトライン」「Player's Cafe」ブッキングマネージャー


―高校卒業後はどんな活動をしていたんですか?

大平「桜の聖母短大に入学して、同じ学科の女子4人でまたバンドを組みました。全員「こども保育」という学科だったんですけど、教室に練習用のピアノがあって、いつ使ってもよかったんですよ。学生の特権ですよね。空き時間とか放課後とかに皆でこもって、毎日のように曲作りして。そこで初めてオリジナル曲を作りました。すごく環境が良かったと思います。その時自分が作った曲は、今でも歌ったりしています」

―バンド活動をしていた時期に、印象に残っている出来事はありますか?

大平「短大1年生の時に東日本大震災があって、時間は限られているんだっていうことをすごく実感しました。その年の5月、「THE BACK HORN」とか「セカイイチ」が福島テルサに来たライブイベント『一花-ichika-FESTA2011 』に、ボランティアスタッフとして参加させてもらったんです。当時の普通じゃない雰囲気を救ってくれるようなライブを見せていただいて、プロの熱量を間近で感じました。それは自分がバンド活動していく上で、すごく力になりましたね」

―それから弾き語りに至るまでは、どんな経緯があったのでしょうか?

大平「短大を卒業して就職してからは、仕事一筋。しばらくして少し余裕が出てきた時に、プロアマ問わずライブを見に行って、やっぱり音楽って良いな、歌うことって良いなぁと思ったんです。

弾き語りを始めるきっかけになったのは、ライブハウスの「AS SOON AS」に行くようになったことですね。最初はお客さんとして飲みに行っていて。同年代にDJが趣味の友だちが多かったので、DJの練習会みたいなものにも顔出してたんです。その時に、「いろんな音楽聴くんでしょ?DJやってみたら?今はCDでも簡単にできるよ」って声をかけてもらって、何を思ったか妊娠中にDJデビューしました(笑)。それから「歌は歌わないの?」という話にもなって、出産後、育児の合間に弾き語りをやってみようかなと。子どもと旦那が寝ている間に、1時間くらいASで歌わせてもらったりとか。それが今の活動の始まりですね。2016年くらいのことです」

―久しぶりにステージに立って歌ってみて、どうでしたか?

大平「最初の2、3回は、めちゃめちゃ緊張して、楽しいも何もないというか(笑)。「もうやらない」って思うけど、なぜかやめられない。やればやるほど楽しくなってきて、歌うことが好きなんだろうなぁ、と改めて思いました」

―弾き語りでは、どんな曲を演奏しているのですか?

大平「短大のときに作ったオリジナル曲とカバー曲。弾き語りを始めた頃は星野 源にハマっていたので、結構カバーしてました。
これは旦那に言われたことなんですけど、聴く側は、オリジナル曲の合間にカバー曲を歌われるとすごく盛り上がるらしいんですね。「自分が知っている曲だったら、なおさらうれしいよね」と言われました。だから、ライブするときはあえて2曲くらいカバー曲を入れるようにしています」

―現在、「□□□(クチロロ)」(※4)の“契約社員”としても活動されています。どんな流れで参加することになったのでしょうか?

大平「「キリンジ」にハマっていた時期があって、兄弟ユニット時代の弟の堀込泰行さんは今はもう脱退しているんですけど、Instagramをフォローして、活動をチェックしていたんです。2017年、弟さんが旬なバンドとコラボした『GOOD VIBRATIONS』 というアルバムをリリースして、その中のコラボアーティストに「クチロロ」がいました。その時初めて「クチロロ」をちゃんと知ったんですけど(笑)。何気なくベース・村田シゲさんのInstagramアカウントをフォローしてみたら、「メンバーを募集しています」という記事が上がっていて。既存曲のカラオケバージョンを歌った録音データを送って、選考に応募するという形でした。
その頃ちょうど、目的もなく自主制作音源を夜な夜な作ることが、私の中で習慣になっていたんですよ。作曲スイッチが入っていたというか。その流れで楽しそうだなぁと思い、応募してみました。

忘れかけてた頃に、第一次選考通過のメールがきて。最初は迷惑メールかな?って思ったんですけど(笑)。旦那も「すごいじゃん!面接行ってきなよ」と言ってくれました。「クチロロ」メンバーが福島市に来て面接してくださったんですが、市内の「AS SOON AS」で、一時間くらいいろんな話をしました。結果的に、面接をした人はほとんど合格するという形に。実際に面接したら情が湧いてきたらしくて(笑)。全員入れるのが「クチロロ」らしいよね、という話になったそうで、契約社員という形でボーカル参加させてもらうことになりました」

※4:□□□(クチロロ)……三浦康嗣、村田シゲ、いとうせいこうからなる音楽ユニット

―契約社員に決まったときは、どんな気持ちでしたか?

大平「これから何するんだろう!?という感じ。ギターを持って歌うってことはやっていたんですけど、何も持たずにボーカルだけすることはなかったので、新しい経験だなと思って、初披露のライブがすごく楽しみだったのを覚えています」

―バンドとして、歌い手として、様々な経験を積んでこられた大平さんですが、音楽活動の軸になっているものは何ですか?

大平「今は「子育て」が軸になっているかもしれないです。
育児って結構周りと切り離されるもので。子どもが小さい内はなおさら、お母さんが一人で閉じこもってしまうことが多いですし、共働きしていたとしても、なぜかご飯食べさせたり寝かしつけたりするのは、お母さんの役割であることが多いですよね。もちろん、そうじゃない家庭もたくさんあると思うんですけど。お母さんがやるのが当たり前という空気があるし、お母さん自身も子ども優先で自分の時間がとれない。でもお母さんも一人の人間なので、どこかでガス抜きが必要で。子どもをほったらかしてというわけじゃなくて、お父さんや周囲の人達が子どもを見ていられる1時間を、自分の時間として使いたい。

その1時間を何に使うかっていうのは、人によって変わってくると思うんですね。お茶しに行く人もいれば、カラオケとか、料理、お菓子作りをする人もいるだろうし……私はその時間で、歌ったり、音楽聴いたり、楽器いじったりしていて。子どもが生まれる前よりも、ダラダラせずに集中して取り組めるようになった感覚があります。子育てを軸にして考えることで、メリハリが生まれて、音楽をできる時間がより貴重に思えるようになりました」

―楽曲作りでこだわっている点はありますか?

大平「バンド時代に作っていた楽曲はメッセージ性を重視していて、ライブもメッセージを伝えたい!という勢いがあったけど、弾き語りでは歌詞の意味とかじゃなくて、聴いている時に「この音キレイだな、良い雰囲気だな」と感じてもらえる曲を作りたいと思っています。
最近気付いたのは、景色を描写した曲を作ってしまうクセがあるということ。うれしいとか悲しいとか、誰かを好きになったとか、そういう感情を書くより、自分が見た景色とか季節感について歌詞を書くことが多いですね。
中学・高校と油絵を描いていて、その感覚と似ているような気がします。絵を描くことと曲を作ることがイコールになっているのかも。色とか、懐かしい情景を音楽で表現しようとしている感じ。すごい大それたこと言ってますけど(笑)、聴いていてリラックスできるような楽曲を届けたいなと思っています」

―7月14日(日)には、企画ライブ『こづれライブ~夏~』への出演が決まっています。どんなライブイベントなんでしょうか?

大平「おもちゃや絵本を皆で持ち寄ったり、キッズスペースを設けたりして、子ども連れでも安心して参加できるイベントで、開催は今回で3回目。主催のミオさんはじめ、出演者もママで、自分の子どもも連れていきます。子どもたちが遊んでいる空間でのライブになるので、より雰囲気を大事にして、聴き入るライブというよりはBGMに近いものにしたいですね。山ちゃんさん(山崎明保※5)がやっている「流し」のスタイルみたいな。子どもも大人も楽しく、リラックスできるライブにできたらいいな、と思います。

私の息子は今3歳なんですけど、私が歌っていると「歌わないで!」って言われることもあります(笑)。やっぱり自分のこと見ててほしいからだと思うんですけど。もしライブ当日にそう言われたら、演奏をやめるしかないなと(笑)。それはミオさんにも伝えてあるし、そういうイレギュラーなことも皆で楽しんでいきたいですよね。
子ども連れでライブに出演できるというのはすごく貴重で、声をかけてくれたミオさんには本当に感謝です。同じママ世代の人で、歌ってみたい、音楽活動したいという人もいると思うので、ぜひ一度見に来てほしいです」

※5:山崎明保……福島市のシンガーソングライター。山崎明保さんのインタビューはこちら

―最後に、これからの目標を教えてください。

大平「できれば今年中に音源を出したいな。自分でジャケットを描いてみたいです。
“作る”っていうことが自分の中で楽しいことなので、年をとっても、形が変わってもずっと作り続けていきたいとは思いますね。大きな目標とか、目指すところはないかなぁ。今も気付いたら10年経ってたくらいなので(笑)。これからも、自然と、ゆるやかに活動を続けていければいいなぁと思います」


終始穏やかな雰囲気で話してくれた大平さん。子どもと音楽への深い愛がひしひしと伝わってきました。「音楽活動の軸は子育て」という考え方が、楽しみながら育児と趣味を両立させる秘訣なのかもしれないですね。子連れで楽しめる「こづれライブ」、子育て世代の方にぜひ足を運んでほしいです。詳細は下のInformationをチェック!

★「日刊シティ情報ふくしまWeb」をご覧の皆さんに、大平未来さんからメッセージ!

Information

こづれライブ〜夏〜

出演/ヒトリミ、大平未来、あやな 他
開催期間
※本イベントは終了しました。
2019年7月14日(日) 15:00開演
会場名
Player's Cafe
会場住所
料金
前売2,000円、当日2,500円(1ドリンク別当日500円)
※未就学児無料
※オムツ替えスペース・授乳スペースあり!

U-ONE MUSICで発売中
問い合わせ先
U-ONE MUSIC
問い合わせ先
電話番号
024-597-7201

取材協力/U-ONE MUSIC阿部さん(@outline1
撮影協力/むとうさん(@k_rock_mt
撮影場所/Player's Cafe

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