暑い暑い福島の夏。第27回目「ふくしま定食部」の訪問となった今日も、真夏日でした。熱中症が心配されるような天気の日、甲子園球場を彷彿とさせる外観にするするっと麺をいただこうと暖簾をくぐったのは、福島市・北裡商店街の老舗「山口屋食堂」さん。

大正初年、福島市豊田町に現店主の大叔母が茶屋を開いたのがはじまり。店名の由来は、大叔父が文知摺観音(もちずりかんのん)の近く福島市山口の出であったため。
その店を姪である現店主の母が引き継ぎ、福島市仲間町の北裡商店街に移転したのは昭和31年の頃。

福島駅より東へ。国道4号線と稲荷神社の間ほどに位置する北裡商店街は、古くから福島市を代表する割烹、小料理屋などが数多く存在する粋なエリア。その中でもよく目立つ通り沿いに山口屋さんはあります。


一番奥の小上がりが運良く空いていたので、テレビのよく見えるポジションに陣取ります。
山口屋さんでは、「タンメン→鴨南蛮蕎麦→カツ丼」をローテーションのようにオーダーしているので、今日も暑くてもタンメンとおにぎり1個を体が欲します。


7月から9月は暑いので、ご主人が「フライパンもののメニューは止めようか」と奥様に仰ったそうですが、「注文されるお客様がいるからダメ」と返されたとのこと。タンメンファンの私としては助かりました。
「ロスさせるのは勿体ないのでキクラゲは載ってないよ」と教えてもらいましたが、「そんなのまったく問題ないです」と即答です。
間もなくして、チャー!!と野菜を炒める音がしたら、追いかけるように香ばしい香り。そわそわするうちに到着です。

11時55分の位置に添えられたレンゲを取ってさっそくスープからいただきます。


旨み大量流出のスープに、サッと炒まりながらもシャキッとした野菜が心地よく、やっとひいた汗もたちまち再噴出。
それでもレンゲのスナップは止まりません。高校球児に負けないほどのレンゲのスイングを見せます。
薄い切り歯で製麺された、蕎麦屋さんらしさのある自家製の細麺は、スープを引き連れてするするするっと口の中へ。


山口屋さんで好きなメニューのひとつ。常連さんのオーダーでもよく耳にするのが、おにぎり。麺類のお供に絶妙な塩加減、絶妙な握り具合。なによりほかほかがありがたいのです。
今日は昆布のおにぎり。そしてバラエティに富んだ漬け物もうれしい限り。胃も心も癒されます。


福島県庁前通りから明治病院への通りは、奥州街道。福島城から見て北の裏の繁華街「北裡商店街」。私が学生の頃には映画館もありよく通った、華やかな旅籠街の名残り漂うとても雰囲気のあるエリア。
"裏"ではなく“裡”を使うのは、着物の上に着る羽織のウラを表していて、そこにお金をかけることはお洒落で裕福の証。そのため、遊郭や娯楽での賑わいが派手だったことを表すこの字が使われているとのこと。
かつての福島宿の華やかな余韻とともに、自家製麺をすするゆったりとした時間でした。
ごちそうさまでした。
Information
山口屋食堂
- 住所
- 電話番号
- 024-522-3395
- 営業時間
- 11:30~15:00(15:00ラストオーダー)
※売り切れで早く終了する場合あり
※営業時間はお問い合わせください - 休み
- 毎週日曜日、第3月曜日※不定休あり
- 駐車場
- 5台
- リンク
-
http://www11.plala.or.jp/yamagutiya/index.html