「山峡の命脈」第二只見川橋梁
夕映えの川霧淡く 橋渡る 霧幻列車に 山眠りゆく
奥会津の夕暮れは、どこか時の歩みを緩やかにする。茜を帯びた雲は静かに空を染め、川面には淡い光が揺れている。その静寂を破ることなく、霧幻列車は鉄橋をゆっくりと渡ってゆく。轍の響きは決して騒がしくなく、むしろ山河の呼吸に寄り添って軽やかである。
深い杉の森は暮色をまとい、遠き峰々は霞の奥に溶けている。水鏡の川面は焼けた天空を映し、現世と幽玄の境を曖昧にしている。列車の旅人は移り変わる幻想光景に包まれて、失いかけていた日本の原風景へ心を揺り戻されることであろう。
只見線は単なる交通の路ではない。雪に耐え、霧に包まれ、人々の暮らしを静かに結び続ける“山峡の命脈”でもある。この一瞬一瞬の光景には、奥会津が幾歳月守り続けてきた自然と、人の営みの尊さが静かに息づいている。
文・写真/星 賢孝
Information
三島町「第二只見川橋梁」を走る只見線列車
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