もののあはれ・第五只見川橋梁
霧晴れて 里山深く 夏匂ふ 橋ゆく列車に 朝の風立つ
梅雨の名残を宿した朝霧が山々を優しく包み込み、只見川の水面には静かな時の流れが映し出される。みずみずしい田園の緑は生命の息吹に満ち、深山の濃緑と響き合いながら日本の原風景の素朴な趣を醸し出している。
その静寂を破ることなく一両の列車が鉄橋を渡って来る。轟音を誇示する事もなく、里山の営みに寄り添いながら進む姿は、この土地に息づく人々の暮らしと心を結ぶ使者でもある。古来、日本人は自然を征服するのではなく共に生き、共に季節を重ねる存在として慈しんできた。
朝霧はやがて消え、稲は黄金色に結実し季節は静かに歩みを進めている。されど、この一瞬だけに宿る清らかな気配は、二度と同じ姿では巡ってこない。故に私は霧立つ朝を待ち続けている。移ろいゆく自然の中に永遠を見つめ、日本人が大切にしてきた「もののあはれ」を、一枚の写真に残したいと願いながら…。
文・写真/星 賢孝
Information
川霧に包まれた金山町「第五只見川橋梁」を走る只見線列車
- 住所
- 【今回の撮影スポット】
- 備考
- ※国道252号沿いの路側帯に駐車。集落へ続く土手を上り、村の方にひと声掛けて撮影すること


