巷は徐々にクリスマスムードですが、どちらかと言えば栗ごはんのほうが好みです。
さて、令和5年を締め括る部活動は、いわき市からの帰り道。未訪エリアの石川町を目指そうと、御斉所街道(県道14号いわき石川線)を西へ。石川町に入ると国道118号線に合流。間もなく水郡線・野木沢駅の近くに、「丸仙食堂」さんはありました。
住宅のような外観ですが、判を押したような「○仙マーク」の看板が親しみやすく迎えてくださいます。
濃紺の暖簾を潜ると、眩しいほど清潔感に溢れた店内に、一気に期待が高まります。
なにより、若き店主を筆頭に、スタッフのみなさんが明るくて良い雰囲気。こちらまでにこやかになっちゃいます!“入店即、絶対旨い”が確定しましたね。
テーブルに置かれた、バラエティーに富んだ中華メニュー。しかもどれもリーズナブルの奇跡。
やはり定食からのオーダーを決意。「A定食(キャベツと豚肉のみそ炒め)」「B定食(レバーとニラの炒め)」「C定食(ナスのみそ炒め)」に加え、「S定食(牛肉とタケノコの炒め)」の4種類。
「S定食」が、なぜSなのかも気になるところ。
伺うと、「うちは牛肉以外のメニューがほとんどなので、先代が牛肉はスペシャルだと考えて“S”にしたのでは…」と、実は店主もはっきりとは分からず、むしろ楽しいミステリー。「S定食」もA・B・C定食と同額の750円なので、さらに驚きです。
月替わりメニューや、先行入店のみなさんのオーダーの誘惑。これらを誘惑スレスレかわして、今日は疲労回復、スタミナチャージ。ビタミンBの「B」との一致は偶然か、「B定食」のレバニラ炒めに決定。さらに、タンパク質補給の「納豆と玉子炒め」を単品追加です。
丸仙食堂さんは、現店主の祖母である初代が仙台市出身であったことから命名。遡ること55年以上前にラーメン一本で創業。「リーズナブルな価格設定も、A・B・C・Sの定食も、先代から決められているので、変えられないんですよ」と仰います。
まばゆい店内は、現店主が8年前に帰還する際に改装されたもの。店主は、赤坂の「Wakiya-笑美茶樓」や、目黒「雅叙園」で腕を磨かれてきた中華料理人。初代から継承される思いを土台に、培ってきたものを上乗せする姿勢に、これからの食堂の理想形を見ました。
さぁ、先行して「B定食」が運ばれてきました。潔いほどにレバー!薄く衣を纏ったレバーは、豆板醤とゴマ油、ニンニクの甘み辛みがよく絡んでご飯が進む進む進む!
毎日仕入れる鮮度は、スッスッと歯が入る柔らかさと濃厚な味わいからも分かります。
特有のクセもなく、むしろコクを堪能できるレバニラ炒めは、庶民的なメニューでありながら、本格の技が随所に光る逸品です。
あと引く旨みをリフレインしていると、「納豆と玉子炒め」が到着。儚いほどふるふる揺れる玉子に、しがみつくように点在する納豆。それらを防御する盾のようなシルバーの匙がカッコいいほど綺麗。
まずはひと口。タレ不要のプレーンが大正解ですね。
サンディエゴ・パドレスのチームカラーを彷彿とさせる、黄色と茶色が織りなす一皿は、バターの風味ごと炒めた香ばしさ。同時に、納豆の粘りが顔を出して食感も楽しく、気づいたらライスに乗せて掻き込んでいました。
他にも「この価格で良いんですか!?」と思わず心の声が出るメニュー揃い。
炒飯もバリエーション豊富で、すべての味を制覇したくなります。
どれもリーズナブルなので、安心して単品追加の組み合わせを楽しめるのも「丸仙」さんの魅力の一つ。
人気のメニューは早々に売り切れることもあるので、定食や杏仁豆腐(この日も完売で残念)狙いの場合は、早めの訪問が必須です。
「丸仙」さんのお客さんは、平日は高校生や工場のみなさんが多めですが、夜や休日はやっぱり昔からの常連さんが、初代から続く“丸仙イズム”を求めて通われます。
店主が生まれ育った石川町で、磨いた腕を振るう中華食堂。「丸仙食堂」さんにお邪魔するためだけに石川町へ足を運びたくなる、価値のある食堂です。
ごちそうさまでした。
Information
丸仙食堂
- 住所
- 電話番号
- 0247-26-5597
- 営業時間
- 11:00~15:00/17:00~19:00
- 休み
- 毎週月曜日(月1回火曜日休みあり)
- 駐車場
- 4台
- リンク
-
https://www.instagram.com/marusen_shokudou/