さくらんぼ大将の舞台はダムの底に…
第22週の放送では福島の2つのフルーツが物語のカギになっていました。1週間に2つも福島の特産品にスポットを当ててくれるなんて、制作陣の皆さん、よくやってくれました!(なぜ上から目線?)
1つ目はサクランボ。劇中では主人公・裕一が、劇作家の池田二郎と組んで手掛けたラジオドラマ「さくらんぼ大将」のことがあちこちに出てきました。
このドラマは昭和26年頃に実際に放送されたもので、物語上のメイン舞台は、福島市飯坂町の茂庭地区という設定になっています。そして、この茂庭地区を推薦したのは、古関裕而自身だということが自著で書かれています。
どうやら当時、茂庭地区ではサクランボ栽培が盛んだったらしく、ドラマのタイトルもそれに由来しているらしいんですが、今、その面影を感じることはできません。というのも、舞台となった集落の大部分は現在、「摺上川ダム」の底に沈んでしまっているので、私にはサクランボ畑があったどうかさえもよく分からないからです。
それにしても、地元民としては、「よくこんな何もない田舎(失礼!)を全国放送のラジオドラマの舞台に採用したな~」というのが、正直な感想。思うに、日本人の原風景に近い素朴な雰囲気がドラマ制作陣にハマったのかもしれません。

福島人はリンゴを買わない?
2つ目のフルーツはリンゴ。裕一の弟・浩二の恋愛エピソードの重要なモチーフとして登場していました(ちなみにこのコラムの第11回で書いた福島のリンゴのネタも読んでください)。
生産量日本一を誇る青森県より温暖なので、長い期間出荷できるのが福島県のリンゴの強みなのだとか。もちろん、味も折り紙つきです!
劇中でリンゴ畑のシーンが出てきますが、残念ながら福島市内でロケしたかは確認できませんでした。というか、番組冒頭のクレジットに「(長野県)飯田市」と出ていたので、長野県でロケをしたという説がネット上では有力です。本当だとしたら、なぜ、福島盆地にたくさんあるリンゴ畑をロケに使ってくれなかったんでしょうか?理解に苦しみます(泣)。

福島県の果物といえばモモが有名ですが、サクランボやリンゴも負けていません。さらに言えば、ナシやブドウなども生産量では全国上位を毎年キープしています。
そんな「フルーツ王国・福島」を象徴するスポットが、「フルーツライン」と名づけられた道路です。福島盆地の西側を南北に走っているこの道沿いには、果樹園や果物畑が林立しています。
でも、おもしろいことに、地元の福島人はこれらの場所で、自宅で食べる果物をあまり買いません。
というのも、「おすそ分けなどで果物がタダで家にやってくるから」。
旬の時期には果物が一気に出回るので、規格外品やキズ物もたくさん出てきます。それらが回りまわって地域内のそれぞれの家にやってくるのです。特に、リンゴは日持ちするので、回ってくる傾向が強い感じ。そんなこんなで、見栄えを気にしない自宅用の果物にはお金を使わない福島人って意外と多いんです(贈答用はよく買いますよ!)。

それでも、どうしても自宅用に果物を買わなければいけない時は、直売所や道の駅で買い求める人が多いのですが、私のおすすめは「無人販売所」です。フルーツライン周辺はもちろん、福島盆地のあちこちに点在しています。もちろん規格外品やキズものだったりするのですが、味は良品と同じ。
そして、何といってもハンパなく安い!
期間限定の場所もあるので、穴場を発見した時の「見つけた!」という醍醐味が味わえるのも一興です。ぜひ、トライしてみてください。
