いつものウォーキングコース、福島駅前のパセオ通り。「パセオ」とはスペイン語で「散歩」。速度を落としてショップや飲食店などを覗き見ながらの470m。
第109回の「ふくしま定食部」は、通りの北の終点にほど近いニュー万世ビル。
譜面台のように置かれたメニューが目を引く「おかあさん食堂」さんへお邪魔します。スペイン気分のままサグラダ・ファミリアの螺旋階段を上るようにオリーブ色の暖簾を潜ります。
店内は右手にカウンター、左と奥にテーブル席。
キッチンからひょいと身を乗り出したおかあさんの「空いているお席へどうぞ♪」の声に、臨場感のあるカウンターへ滑り込みます。
これまで幾度となくお邪魔しているおかあさん食堂さんでは、しょうが焼き率が高めでした。
しかし!梅雨明け頃に「おかあさん定食A・B」が登場してからは、その過積載な程にリッチな内容に魅せられています。
まるで“陸・海・空”を制圧したような3種盛り。
定食Aは“焼き肉・アジフライ・とり唐”。定食Bは“とり唐・焼き鮭・しょうが焼き”。甲乙つけがたいところですが、今回は「おかあさん定食B」に決定!
定食Bを選んだ理由もしょうが焼き。たっぷりとしょうが焼きに向き合いたいときは迷わずフルサイズの「豚ロース肉のしょうが焼き定食」を選びます。
2番目にオーダーしてきたのが「とり唐定食」。最初、メニューの写真は誇張だろうと思っていたら写真を超えてきたことに驚きました!
「穴太衆」の仕事かと思うほど見事に積まれたとり唐は、頬張るとザクッと口の中で衣が香ばしく弾けて、その中には鶏肉が熱々ジューシー。
※穴太衆(あのうしゅう)…戦国時代から安土桃山時代にかけて城などの石垣を積むことで名を馳せた伝説の石工集団。
その2つが同席した定食Bは眩しいほどの魅力を放つ定食という訳なんです。
鍋を振る心地良い炒め音や、おかあさんたちの無駄のない動き。空間が生み出すそのすべてに浸りながら待つこと10分ほど。クルマのリップスポイラーの如き焼き鮭が配膳の安定性を高めながら、おかあさん定食Bの到着です。
定食AがアジフライのAなら定食Bは豚肉のBだと言わんばかりに艶やかな褐色の美しさ。ガバっと摘まんで頬張れば「はい旨い!」。
食べ応えのある豚ロースと食感と甘みを司る玉ねぎのバランスもよく、薄く纏った衣に生姜・玉ねぎ・にんにくなどを擦りおろしたタレがよく絡んで最高!余韻のままにガス釜で炊かれた天のつぶを頬張れば、また「旨い!」
もう、叫ばせてください。
「おかあさーーーーーーーーーーーん!!」
やや厚めに切られた豚ロースの醍醐味とも言うべき脂身は、サクッとした歯切れの先のハイオク満タンな旨み。
ここでキャベツに箸を伸ばしますが、ドレッシングのど真ん中を大胆に掴んでおかあさんに男らしくなった姿を見てもらいましょう!
続いてはとり唐!柔らかな豚ロースからとり唐クリスピーへの緩急も心地良く、本家舟山のレンガ積みボーラーが蒸し上げる、まろやかな醤油の味わいが食欲を加速させます。
そしてトリプルメインのラストはじっくりと焼かれた脂ののった鮭。ふっくらとした身も皮の香ばしさも豚・鶏とは異なるおいしさ。
おかあさん食堂のもうひとつの顔は夜の部。パセオ通りの食堂で乾杯できる幸せ。しかも安くてボリューミー。
あったかい定食を完食したら、サービスのコーヒーまでいただいて、午後からの仕事は船漕ぎ必至の満足満腹。
島崎藤村が「千曲川のスケッチ」の中で、君影草(すずらん)は“幸福の帰来“を意味すると描写しました。かつて「すずらん通り」として親しまれたパセオ通りで温かい食事を求め帰ってきたくなる「おかあさん食堂」。
市街地のオアシス、パセオの止まり木。帰宅するようにまた寄らせてください。
ごちそうさまでした!
Information
おかあさん食堂
- 住所
- 電話番号
- 024-572-6085
- 営業時間
- 11:30~14:00(13:45ラストオーダー)/17:00~21:00(20:30ラストオーダー)
- 休み
- 毎週日曜日(祝日の場合は営業)、水曜日の夜
- 駐車場
- なし
- リンク
-
https://www.instagram.com/okaasan.shokudo/

