転がる玉羊羹に思わずツッコミを
今週末(11月27日(金))でエールも最終回。終了したら、私も含め多くの福島人が「エールロス」になるでしょうね…。
それはともかく、今週の第116回の放送では、福島市の隣にある二本松市の銘菓が登場しました。
主人公・裕一夫妻と、娘・華とその恋人・アキラの4人で求婚の話を繰り広げる場面。音が「福島の名物なんです」と言ってアキラに差し出した、まっ黒い球体。
そう、これが二本松の銘菓「玉羊羹(ようかん)」です。
音は、「甘いもの」とは言ったものの、「羊羹」ということも「食べ方」のことも何も言わずにアキラに供していました。「食べるのに"コツ"があるお菓子なんだから、ちゃんと教えてあげないと!」と思ったら、案の定、アキラは畳の上に玉羊羹を落としてしまいました。
「そりゃ、落とすわい!」と、ツッコミを入れた福島人は私だけではないでしょう。
この玉羊羹は、小さなゴム風船に羊羹を注入して作るため、この形になっています。
戦時中「戦地でもおいしく簡単に甘いものが食べられるように」と、ゴム風船に入れた羊羹を開発したという話は、よく知られています。考案したのは二本松市にある菓子店「玉嶋屋」ということも地元では有名ですが、今では市内の多くのお店で作られています。
古関裕而と二本松とのつながりは?
それにしても、なぜ音は、わざわざゴム風船を外した食べにくい状態でアキラに供したのでしょうか?
通常は、ゴム風船に入ったままの状態で提供します。
爪楊枝を羊羹に突き刺すとゴムがぺろんと裂けるので、その爪楊枝に刺した状態で口に運ぶ、これが一般的な食べ方です。ゴム風船から中身を出すと爪楊枝が刺しにくいことは、一度食べれば分かると思うのですが…。ひょっとして、つるつるの玉羊羹をどう攻略するかで、娘の結婚相手に相応しいかどうか見定めようとしたのかも?(←んな訳ないだろ!)
思えば、裕一が音に求婚した時には、小道具として「薄皮饅頭」が使われていました。それと対比させる形で今回は別のお菓子を登場させたのでしょう。それにしても、なぜ玉羊羹を採用したのか?
私なりに2つ理由を考えました。
1つめは、裕一のモデルである古関裕而には、二本松市に親戚がいたらしいということ。親戚から地元のお菓子が贈られてきたと考えるのなら不自然はありません。
2つめは、古関裕而は「二本松少年隊」という曲を作っているということ。しかも、ちょうどこの放送回の設定年頃にあたる昭和32年に作曲しているんです。そしてなんと作詞家・作曲家・歌手は、あの「福島三羽ガラス」のトリオです!この曲を作った縁で、二本松の銘菓が古山家の居間にあるという設定だったとしたら説得力がありますね。
ちなみに二本松少年隊とは、戊辰戦争で二本松城(霞ヶ城)が落城した際の戦いで戦死した少年隊士たちの名称です。会津の白虎隊と並び、戊辰戦争の悲劇として広く知られています。
今週で最終回ということを考えれば、今後の放送回でこの曲が登場することはないでしょう。でも、二本松城址に行けば、いつでも聞くことができます。ぜひ、足を運んで聞いてみてはどうでしょうか?